動物園・水族館のいきものたちはみんなに会える時を待っている

全国の動物園、水族館のスタッフは「その日」に備えて全力で準備していた(写真・野毛山動物園)


野毛山動物園

──“命を感じる動物園” ができること、やるべきことはたくさんありました──
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/nogeyama/

野毛山動物園は、横浜みなとみらいを見下ろす野毛山公園の中にあり、景観と利便性のよい立地に加え入園料が無料ということで、親子連れを中心に近隣のみならず多くの来場者がある人気の動物園だ。93種の動物たちが迎えてくれ、希少種が多いのも特徴。2021年には開園70周年を迎える長い歴史を持つ。

休園中のキリンの様子
同園は6月11日(木)より平日のみの開園を予定(月曜は通常の休園日)

今回のコロナ禍に思うこと、その中で、従業員たちがどのように考え業務にあたっていたかを話してくれた。そこには、動物の命を預かっているという使命感を感じる。

「感染対策は健康チェックなど職員への徹底はもちろん、人から動物への感染防止対策も徹底し、一部の動物には手袋を着用するなど細心の注意を払っています。動物たちの中には、チンパンジーなど担当飼育員が変わるとストレスを受けやすく飼育員との関係性が重要なため、出勤体制も全体的に見直しました。飼育作業から獣舎の整備、大工仕事など休園期間中の仕事は山のようにあります」

整備に余念のないスタッフ

この休園中に新しい仲間がやってきたという。 “グレービーシマウマ” だ。再開に向けて展示場へ出す訓練もあるし、野毛山の使命でもある“希少動物”の繁殖とその準備など、動物園の仕事は想像以上に多岐にわたる。

グレービーシマウマの写真
グレービーシマウマの美しさは、ぜひ直接見てみたいものだ。

「また、この状況下だからこそ、私たちにできることを考え、実行してきました。飼育員のみんなと広報が撮ってきた写真を積極的にSNSにもアップして、動物たちの様子をお届けしています」

野毛山動物園を運営する横浜市緑の協会は、よこはま動物園ズーラシアや金沢動物園なども手掛けるが、どれも情報発信が積極的だ。「無観客ミニガイド」という動物たちの様子をガイドしてくれるように写真で紹介する企画、普段は公開していない学校対応のプログラムである「飼育員のお仕事」の公開といった、現地に行けない期間だからこその充実した発信を行っている。

「少しでもこの機会に動物園の仕事について知ってもらえればと思うのです。緊急事態宣言が解除され、外出制限が緩和されても、すぐに元に戻るとは限りません。イベントなども計画しづらい状況ですが、1日も早くいきものたちとみなさんが出会えるようになればと願っています」
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文=坂元耕二

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