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「PANDAID」発起人の太刀川英輔氏。低コストで作れるフェイスシールドが話題に。

A4クリアファイルに型紙を入れ、示された線に沿って3カ所を切るだけ。たった30秒でつくれるフェイスシールドが話題だ。

北里大学病院や東京大学医学部附属病院など医療現場を中心に国内外で重宝され、マスクなど物資不足に窮する人々を救う画期的なアイデアとして注目を集めている。

フェイスシールド用のテンプレートは、デザイン事務所「NOSIGNER」代表の太刀川英輔が手掛け、新型コロナウイルスから命を守るためのウェブサイト「PANDAID」から無料でダウンロードできる。つくり方を伝える動画の再生回数は、SNS上で計120万回を突破したという。



「PANDAID」は、東日本大震災後には防災冊子『東京防災』を手がけた太刀川が発起人となり、非営利で運営されている。サイトでは、Covid-19に関する基本的な情報から効果的なリモートワークの知恵まで、科学的なファクトに基づく情報が、デザインを使って視覚的にも分かりやすくまとめられている。

正確な科学的理解にもとづいて市民が協力すれば多くの命を救うことができるという点は、新型コロナウイルスのパンデミックの特徴の一つだ。とはいえ、専門用語や数字が飛び交う医療や科学の議論は、とっつきづらいことも多く、ややもすると嫌厭しがちではないだろうか。

「科学xデザイン」という観点から、ポストコロナのデザインの可能性について太刀川に話を聞いた。

「パッと見てわかりやすい」視覚デザインの歴史


「最初は僕ひとりで手弁当で始めました」と太刀川は言うが、現在では医者や消毒会社で働く人など約300人が有志で運営のため登録している。 PANDAIDのサイトを見ると、医学や公衆衛生学に関わる難解な情報を一目で直感的に把握させるデザインの力にまず驚く。

言語を使った説明では到達できないような強みはどこからきているのだろうか。

太刀川によれば、グラフィックデザインの基礎にはビジュアルコミュニケーションの達成という考え方があり、どうすれば情報の視覚的な伝達がうまくいくのかは、デザイン史的にみても重要なテーマだという。

「ちょうど100年ほど前の1918年にはスペイン風邪が流行しましたが、それによって公衆衛生が大変重要になりました。その後の1920年代、オットー・ノイラートという人物がこうした課題のために活躍した時代です。彼は現代のピクトグラムの原型となるアイソタイプ(Isotype)を考案した中心人物で、グラフィックデザインの歴史の中で非常に重要な人物です」

「ピクトグラム」とは道路標識や非常口のサインなどに代表される絵文字のこと。単純かつ非言語的な仕方でパッと見てわかりやすい表現が特徴。その原型の一つとして1920年代にノイラートが考案した「アイソタイプ」のアイデアは、同時代にドイツのヴァイマールに設立された造形学校・バウハウスのグラフィックデザイン等にも影響を与えたという。

文=渡邊雄介

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