クレディ・スイスは5月21日に発表したレポートで、ロイヤル・カリビアンとノルウェージャン・クルーズラインの2社に対しアウトパフォーム評価を与えた。両社の株価は2020年に入り70%以上の下落となっている。
クレディ・スイスは2社のターゲット株価をそれぞれ、67ドルと21ドルに設定した。これは22日の終値から50%以上の株価だ。同社のアナリストのBenjamin Chaikenは顧客向け資料の中で、パンデミックの影響が観光業界に残り続けるとしたが、クルーズ船企業の株価は、不当に低い水準となっており、今後の大幅な回復が期待できると述べた。
クルーズ船の運行は現在、停止されており運営元は外部からの資金調達で企業を存続させている。ノルウェージャンは先日24億ドル(約2600億円)を調達したが、そのうち4億ドルはプライベート・エクイティ大手のLキャタルトンの資金だった。Lキャタルトンは、ロイヤルな顧客らが再びクルーズ船に戻ってくると信じている。
しかし、クレディ・スイスはクルーズ船の運行企業らが8月より前に運行を再開し、顧客を取り戻すと予測している。アナリストはこの分野の顧客が非常にロイヤルな性質を持つと述べている。
クレディ・スイスによると、顧客の55%は旅がキャンセルになった場合、払い戻しではなく、次回の旅で利用可能なポイントを求めていたという。「このデータは、クルーズ船分野の回復力の高さを示している。この分野では将来的にも高い需要が予測できる」とChaikenは指摘した。
「今後も資金の流動性の縮小リスクはあるものの、現状の株価は魅力的なエントリー水準にあると言える」とクレディ・スイスは顧客らに対して述べた。
今回のレポートを受けて、ロイヤル・カリビアンとノルウェージャン・クルーズラインの株価はそれぞれ、6.4%と9.8%の上昇となった。
クレディ・スイスはこの分野のもう一つの大手であるカーニバル・コーポレーションの株価見通しについては、ニュートラル指標を与え、22日の終値の14.50ドルから17%下落することを示唆した。
クレディ・スイスによると、主要3社の中ではロイヤル・カリビアンが最も高い回復を見込める企業だという。5月20日にロイヤル・カリビアンは予想を上回る第1四半期の損失を報告した。同社は2020年の通期においても損失を記録する見通しを立てている。