ビジネス

2020.05.26

コロナ禍でも「文化を止めない」──レナクナッタ・大河内愛加の決意

Dodici代表取締役の大河内愛加


西陣織のマスクで苦境にあえぐ産業に救いの手を


コロナ禍において、百貨店や商業施設、実店舗の臨時休業や、ブランドの終了や破たんなど苦戦を強いられているファッション業界だが、オンラインに軸足を置くレナクナッタも例外ではない。当初Makuakeのリターンとして予定していたミラノサローネ出展レポートは、ミラノサローネの今年度中止によって来年へと延期になり、試着会は事前予約者のみのクローズド開催に変更。イタリアからの素材の発送が遅れ、新作の製作スケジュールが後ろ倒しされるなど、影響が出てきている。

だが、ネガティブなニュースだけではない。レナクナッタではウエディングドレスでコラボした織元と協力し、西陣織のマスクを製作。市場の急激な冷え込みで、受注がさらに減った生産者や職人に依頼し、その苦境をしのごうとしている。

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「もともとは残布で作ろうと思っていたのですが、シルクしかなかったので、マスクのためだけに新たに西陣織を織ってもらいました。私の背中を押してくれたのは、お客様と織元さん、縫製工場の社長さんでした。マスクの届いたお客様にも、織元さんにも職人さんにも喜んでもらえて……本当によかった」

SNSのタイムラインにも暗い話題ばかりが上るなか、大河内は「#レナクナッタで会いましょう」と呼びかけ、ファンたちとのつながりを求めた。ハッシュタグをたどれば、アイテムを手に入れたファンたちが、コーディネートやメッセージを投稿し、「いつか着飾って出かけられる日」を心待ちにしている。

「生きるのすら大変な時代で、私たちが作っているのは『なくてもいいもの』かもしれない。でもお客様から、『作り続けてください』『また会えるのを待ってます』とメッセージをもらったり、お客様同士が仲良くなってSNS上で交流されたりしているのを見ると、私たちができることはまだあるんだと感じます。クリエイティビティを止めない。文化を止めない。私たちが作り続けることで、また会えるようになるまで、みんなとつながっていたいと思います」

文=大矢幸世 人物写真=小田駿一

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