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Dodici代表取締役の大河内愛加

「私は文化を止めない」──。そんな言葉をSNSに書き記したのは、ディレクター・デザイナーで株式会社Dodici (ドーディチ)代表取締役の大河内愛加。2016年にブランド「renacnatta(レナクナッタ)」を立ち上げ、巻きスカートをメインに、日本とイタリアのデッドストックや伝統工芸素材を組み合わせたアイテムを展開している。

「私はファッションを売っているわけではない。“纏う文化”を売っているんです」と語る大河内の新たな試みが、西陣織で作る"一生着られる"ウェディングドレスだ。3月からはじめたMakuakeを終え、700万円以上を集めるプロジェクトとなった。そして4月には同じく西陣織で作ったマスクを販売し約3000枚を売り上げ、大きな反響を呼んでいる。

日本とイタリアを行き来し、その文化を縫い合わせてきた彼女は、2019年夏から主な拠点を京都に移し、より深く日本の文化と向き合っている。

西陣織で作った「一生着られるウエディングドレス」


「長年暮らしてきたイタリアでは、歴史のあるものが日常に根づいていて、美術館や博物館に飾られるだけではなく、その街並みや風景、身につけるものや使うものとして、馴染みのあるものでした。3年前から買い付けで京都を訪れるようになると、京都の古い街並みや、伝統工芸を大切にする価値観……私にとってすごく自然でいられるなと感じました」

京都に通ううち、同世代のクリエイターや伝統工芸職人など交友関係を広げていった彼女は、パートナーとの結婚を機に、京都に移り住むことになった。そして今秋に予定される自身の結婚式に向け、ウエディングドレスを自らの手で作りたいと考えたという。

「西陣織は、緻密に織られた繊細な文様が本当に素晴らしいんです。でも着物の帯などで使われる以外に、なかなか着る機会がありません。スカートやセットアップとして普段使いするには躊躇する金額ですが、もしウエディングドレスとして仕立てて、ずっと着られるようなものとしてデザインすれば、自分にとっても大切なものになるし、他にも欲しいと思ってくださる方がいるのではないかと思ったんです」

「ウエディングドレス」となるとワンピースが一般的だが、結婚式以外のオケージョンにも着こなせるように、トップスとスカートに分かれたセットアップにした。スカートはもちろんシグネチャーアイテムである巻きスカートだが、トップスも着物のように巻きつけるカシュクールデザイン。「自分に合うサイズが見つからない」と巻きスカートからブランドをスタートさせた大河内の意志は、ウエディングドレスにも反映されている。

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生地はリッツ・カールトンやフランス人デザイナーとコラボレーションするなど、西陣織の新たな可能性を模索する「西陣織リニスタ」に依頼し、アール・ヌーヴォー調の花柄を、生成りとベージュの糸で織りあげた。西洋風に見えるが、あくまで西陣織の伝統的な織柄だという。

文=大矢幸世 人物写真=小田駿一

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