ビジネス

2020.05.25 16:30

目指すはスマホの中の美容部員 「スキンケア」パーソナライズ化の勝算

5/22にローンチした「HOTARU PERSONALIZED」


アフターコロナでも生き残る、新しい化粧品メーカーの形


MEDULLAはオンラインだけでなく、サロンでの美容師による販売や、マルイや渋谷ヒカリエで行う長期期間限定ショップなど、オフラインでの接点も設けてユーザーを獲得し、5月時点で会員数は約15万人を超えている。
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HOTARUでも「リアルな体験の場や自社サイト以外の販売先も検討している」と深山は語り、「例えば、MEDULLAの提携先でご要望があれば活用したい。知識、スキルを研修して美容院やエステサロンで展開したり、元美容部員の方で現在主婦の方とかが販売する形もいいなと思っています」と構想を膨らませる。

しかし現在、リアルな場は新型コロナウイルスの感染拡大で多大な影響を受けている。期間限定ショップが入る場所は休業を余儀なくされ、サロンもクラスター化の恐れから客足が遠のいている。しかし、Spartyはこれを機に、休業・営業縮小の影響を受ける美容院や美容師に向けて、オンライン物販をサポートする「美容師応援キャンペーン」を開始。このキャンペーンによって、契約店は300店から450店まで急増。在庫リスクがなく店舗以外の場でも販売できる形は、サロン専売品では叶わないメリットだ。

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「僕らはD2C(Direct to Consumer)企業と言われていますが、どちらかといえば、テクノロジーを活用して今までの化粧品メーカーの在り方を変えていく会社でありたい。百貨店やリテールでの販売といったビフォアコロナのメーカー体制から、アフターコロナにふさわしいデジタルを基軸とした新しい化粧品メーカーの姿を作っていけるのではないか」(深山)

単なるオフライン体験のデジタルシフトではなく、オンラインを基軸にオフラインを構築する。バリューチェーンやKPIも従来とは異なるなど、Spartyは新しいタイプの美容企業だ。

「新しい売り方だけでなく制度が必要。伝統的な制度品の仕組みが続き、チャネルごとに商品が分けられてきた今までは流通が頂点にあった。僕らはお客様を頂点として、最適な体験を届けるために、あらゆるチャネルでどのような体験を届けられるかを考えていく初めての会社になれるのではないか。会社をゼロから作る強みだと思います」(深山)

昨年12月には丸井グループを加えた4社から、総額6億円の資金調達を実施したSparty。この調達ではオフライン戦略の強化に使用するとしていたが、新型コロナよって市場の流れが変わった。美容部員によるオフライン接客が難しいアフターコロナの時代に、「HOTARU」は独自のオフライン接点を考える。

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Sparty代表取締役社長の深山陽介 撮影=小田駿一

「僕らのブランドは、製品を革新的だと感じてもらい、使う時にときめきがあり、その後に最高のカスタマーサービスがあることに価値があると思っている。『HOTARU』では同梱するリーフレットやコールセンターでのコミュニケーションを強化し、購入者へのコミュニケーションを行なっていきます」(深山)

また、今後は独立したブランドである「MEDULLA」と「HOTARU」がデータを共有し、一緒にユーザーコミュニケーションを行う形も模索しているという。

深山は「まだ世に出せていない構想がある」と語る。アフターコロナの時代に、デジタルネイティブのSpartyが強みをどう活かしていくのか期待がかかる。

文=臼井杏奈

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