金融業界も「SDGs化」、パンデミック債も|シリコンビーチから見るコロナ後経済

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緊急事態宣言解除の今、コロナが「収束」したあとの経済についても少し考えていく必要があるだろう。

このテーマについて、米国に住むある日本人大富豪に話を聞いてみた。「シリコンビーチ」に住む日本人投資家、世野いっせい氏だ。

サンタモニカ、ヴェニスを中心とした一帯である「シリコンビーチ」はポスト・シリコンバレーと言われ、「hulu」などエンターテインメント企業をはじめ、求人サイトのユニコーン企業「ジップ・リクルーター」などスタートアップの新たな聖地として注目を浴びつつある場所だ。

世野氏はプライベート・エクイティ・ファンド(米国の富裕層の個人的資金を運用することがメイン)で14年間仕事をしてきたが、現在は引退し、芸能人やメジャーリーガーをはじめ世界の富裕層を中心に、資産運用などのアドバイスを個人的に行なっている。ファイナンスの視点からみた独自の不動産分析で「目的」と「予算」から物件を選定、出口戦略まで一貫した手腕には定評がある。

世野氏はかつてアメリカで代々続く大富豪に「お金のしくみ」を徹底的に仕込まれた。著書に『金持ち脳でトクする人、貧乏脳でソンする人』(PHP文庫)などがある。

ミレニアル世代のこだわりに「企業が合わせる」時代


「まず日本人の感覚は、いろいろな面で世界の主流とはズレていると言えるでしょう。正しいかどうか、いい悪いは別として、世界のスタンダードな考え方をまず知ってもらいたいのです。その考えに合わせる必要は決してありません。ただ、頭に入れておくことこそが重要なのです」

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ことアメリカに関して言えば、「ミレニアル世代」と言われる若者たちの考え方はまったく異なっているという。“millennial”は英語で「千年間の」という意味。1980年代はじめから2000年代はじめに生まれた世代を指す。小さい頃からテレビゲームやインターネットなどに触れていたから、IT機器が身の回りにあるのは「当たり前」。身体の一部となっている。まさに、「デジタルネイティブ」なのである。

「これからはミレニアル世代が世の中の中心となって時代をけん引していきます。彼らは、環境や社会的貢献度が高いものに価値を見出す傾向にあります。ヨーロッパなどでは、もともとその意識が高いですが、アメリカでもそのような風潮が強くなっているのです。たとえば、商品の容器などにプラスチックを使う場合は、再生可能なものであることは必須です」

スターバックスコーヒーでは、2018年7月からストローをプラスチック製から紙製に切り替えた。が、不評につき、現在はストローなしで飲めるようになっている。

「スタバは世界的に認知度が高く、すでに人々の生活に溶け込んでいます。そのような企業でさえもプラスチックストローの廃止に踏み切らざるを得なかった。『そこまでやらなければいけないの?』と正直思った人も多いのではないでしょうか。しかし、ミレニアル世代はここまでこだわり、企業がそれに合わせる流れができているのです」
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構成・文=柴田恵理 編集=石井節子

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