しかし一方で、ビヨンド・ミートやインポッシブル・フーズのような植物由来肉企業には大きな成長の機会が提供されている。
ビヨンド・ミートのイーサン・ブラウン社長兼最高経営責任者(CEO)は先日の業績発表で、牛肉の卸売価格が1ポンド(約0.45キログラム)当たり4.1ドル(約440円)まで上がる中、「動物性タンパク質に対抗して大幅な値引き」を行い、今夏は「積極的な価格設定」をすると発言した。またブラウンは、食料品店が動物性タンパク質の供給不足に苦しむ中、ビヨンド・ミートでは低価格のお得用まとめ買いパックを導入すると補足した。
「当社が最も注目しているのは、食肉業界で破壊が起きる中で消費者に解決策を提示することだ」と述べたブラウンは、「消費者には、異なるモデルを意識する機会がある。顧客に対し、価値ある存在となる機会が増えている」と述べた。
同社の第1四半期の売り上げは倍以上に増え、約9710万ドル(約104億円)となった。
新型コロナウイルスを原因とした食肉供給の滞りが影響を与えているのはスーパーや卸売業だけではない。米ファストフードチェーンのウェンディーズは、定番のフレッシュビーフハンバーガーなど一部のメニューを制限していると報じられている。
米食肉加工業大手のタイソン・フーズは5月4日、徹底的な清掃を行うために数週間、複数の工場での運転を停止しなければならず、他の工場は労働者不足のためフル稼働の状態に戻っていないと述べた。ソーセージブランドのジミー・ディーンを経営する同社は、家畜肉に対する需要は多く、供給も十分にあるものの、パンデミックの影響で工場の加工能力が落ちていると述べている。
ビヨンド・ミートも、マクドナルドやダンキン・ブランズ、カールスジュニア、サブウェイなどのチェーンと協議を行い、協業や拡大の可能性を見極めている。