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2020.05.24 17:00

必読の下戸市場論『ゲコノミクス』 飲まない人も共に楽しめる場へ

ロンドンでのノンアルコールカクテルマスターコースの様子(Photo by David M. Benett/Dave Benett/Getty Images for Everleaf Drinks)

ロンドンでのノンアルコールカクテルマスターコースの様子(Photo by David M. Benett/Dave Benett/Getty Images for Everleaf Drinks)

Forbes JAPANで「カリスマファンドマネージャー『投資の作法』」を連載中の投資家、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長の藤野英人さんが、5月12日に『ゲコノミクス 巨大市場を開拓せよ!』(日本経済新聞出版)を発刊した。

藤野さんからForbes JAPAN読者へ

「一見して風変わりなテーマかもしれないですが、これは下戸(ゲコノミスト)の人だけではなく、お酒を飲まれる方(ノミスト)へのメッセージでもあります。お酒を飲む人も飲まない人も共に豊かな時間を過ごすために、相手の気持ちをお互いに考えていこうというのが私の主張です。自分の常識をちょっぴり違うところに寄せるところで、前よりも豊かな時間を過ごせるようになるのではないかと思っています」

これからの時代を読むために必読のポイント満載の『ゲコノミクス』、その読みどころをさっそく紹介する。

職人が工具のノミを左手に、そこに打撃を入れるツチを右手に持つことからお酒を「飲み」つけている人を「左党」、逆にお酒をたしなまない人を「右党」という。

さて、本来ノミ・ツチがコンビネーションを組んでひとつの仕事が実現するのに、どうも左党ばかりが仕事帰りの飲食店で持ち上げられ、大きな顔をして、右党は肩身の狭い思いをしてはいないか。

そんな疑問を呈するのが、Forbes JAPANで創刊当初からコラム「カリスマファンドマネージャー『投資の作法』」を連載している投資家、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長の藤野英人さん。

もともとお酒に強くなかった藤野さんは喘息発症をきっかけに33歳で完全にお酒をやめた。以来、悪意はないのだけれど心に突き刺さる「飲めそうなのに」という言葉、お誘いを断らなければならない心理的負担、そして飲食店では客単価が低そうだと白い目で見られ、バラエティの乏しいノンアルコール飲料やウーロン茶、ジュース等をひたすら飲み続けなければならないという「迫害」に苦しめられることとなった。

いったい、この扱いの違いは何か? いや、むしろこの、長きにわたる下戸の不満こそ、潜在する巨大なマーケットのありかを示すものなのだ。「ゲコノミスト」を自認する藤野さんの「右党」宣言とも言える「ゲコノミストが考える、『下戸市場』の可能性」は本誌上を共感と納得で大いに賑わせた。

下戸はもっと本音を主張していい


厚生労働省の国民健康・栄養調査(平成29年)によると、お酒を「ほとんど飲まない」「飲まない(飲めない)」「やめた」の合計は50代でも46.3%いて、20代では56.5%と半数以上を占めているという。

実は、ほぼ半数もの人がお酒を巡ってなんらかの我慢をしているのではないか。それだけ多くの人が耐えている問題を解決する場が求められていることになる。

それを裏付けるかのように、藤野さんが2019年6月に結成したフェイスブックグループ「ゲコノミスト(お酒を飲まない生き方を楽しむ会)」は開始直後すぐに2000人以上の参加者を集め、2020年2月現在3000人以上の規模に成長している。

そして、満を持して藤野さんが上梓した一大「下戸」市場論が『ゲコノミクス 巨大市場を開拓せよ!』(日本経済新聞出版)だ。



藤野さんがこの本の中で試算するゲコノミクスの市場規模はなんと3000億円以上。下戸の人も楽しめる場や飲み物を用意すれば、それだけのお金が動き始めると藤野さんは市場を読む。
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文=縄田陽介

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