「史上最悪の野外フェス」訴訟で問われたインフルエンサーの責任

ケンダル・ジェンナー(Photo by Victor Boyko/Getty Images)

ケンダル・ジェンナー(Photo by Victor Boyko/Getty Images)

ネットフリックスで配信中のドキュメンタリー「FYRE:夢に終わった史上最高のパーティ」の題材となった、野外フェス「ファイアフェスティバル(FYRE Festival)」を巡る裁判で新たな動きがあった。

2017年4月にバハマのリゾート地で開催されたこのイベントは、豪華リゾートで非日常な体験ができることを売りにし、チャーター機代込みのチケットが最高25万ドル(約2700万円)もの高値で販売された。

しかし、飛行機から降りた人々を待っていたのはラグジュアリーな体験ではなく、防災用テントと粗末なサンドイッチという食事だった。杜撰な運営で大失敗に終わったファイアフェスのオーガナイザーは詐欺容疑で逮捕され、参加者らは1億ドル規模の賠償を求める集団訴訟を起こしていた。

このフェスを告知する投稿をインスタグラムで行ったモデルのケンダル・ジェンナーは、27万5000ドルの賠償金支払いを求める訴訟を起こされたが、裁判において9万ドルを支払うことで和解した。

ジェンナーは、主催者側からの報酬と引き換えにこのフェスの告知を行っていた。裁判資料によると、彼女はインスタグラムの1投稿の報酬として25万ドルを受け取っていたという。さらに、数日後の投稿に追加で2万5000ドルが支払われていた模様だ。

既に削除済みの投稿でジェンナーは、プロモーションコードを提示し、VIP限定のアフターパーティへの参加を呼びかけていた。訴訟では、ジェンナーが報酬を得ていることを開示せずに投稿を行ったことが問題視された。

さらに、彼女の義理の兄にあたるカニエ・ウェストが、フェスに出演するという虚偽の告知を行った点も問題になった。

インスタグラムで1億2900万人のフォロワーを持つジェンナーは、自らの責任を否定しているが、裁判にかかる時間的及び経済的コストを回避するために、和解金の支払いに応じたとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は伝えている。

ファイアフェスを主催した、2017年当時25歳だったビリー・マクファーランドは、複数の詐欺容疑で逮捕され、有罪判決を受けて6年間の禁固刑で服役中だ。新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、彼は裁判所に温情的措置による釈放を求めたが、裁判所はこれを拒否した。

編集=上田裕資

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