乗った瞬間病みつきになる。ポルシェ・新型ケイマンの魔力

ポルシェ718ケイマンGT4

羽織った瞬間にぴったりと体に合うと感じるジャケットに出会ったことはあるだろうか。または、足を入れてすぐに「あ、ちょうど良い、気持ち良い」と嬉しくなった経験はあるだろか。新型のポルシェ・ケイマンは、そんなクルマだ。

718ケイマンGT4は、運転席に座り込んだ瞬間、クルマとの一体感を感じる。まるで身体が包み込まれるように、ドライビング・ポジションがぴったりと体に合っているのだ。シートのサポート性とクッションの硬さがちょうど良いだけでなく、ステアリング・ホイールやペダル、それに6速MTのギアシフトとスイッチ類が理想的な位置に設置されていることに、思わず笑みが溢れる。

2006年に登場したケイマンはボクスターの兄弟車で、同様の基本設計をしている。簡単に比較すると、ボクスターがオープンカー仕様なのに対して、ケイマンはクローズド・ボディ仕様という違いだ。

4.0リッター水平対向6気筒がカムバック


ケイマンは、2016年に「718シリーズ」と名付けられてから、水平対向4気筒ターボが搭載されていたけど、GT4の登場でめでたく水平対向6気筒がカムバックした。その名は、「718ケイマンGT4」。今回は待ちに待ったそのフラット6エンジン仕様に乗った。

僕は昨年末、アメリカで、フラット6と6速MTをマリアージュさせたモデルに試乗した。当時は6速MT仕様しかなく、デュアルクラッチ付きオートマチックのPDK仕様は「そのうちに追加される」とポルシェ関係者に言われていた。GT4に420psと420Nmを発生する4.0リッターの水平対向エンジンを搭載とは、さすがポルシェだ。

正直にいうと、今回はケイマンGT4をかなり褒めることになる。4気筒ターボのエンジンの性能と音に不満を感じていた人がいたようだけど、追加されたこのフラット6に対しては、大きな喜びの声が聞こえてきそうだ。ケイマンGT4はその感動に値すると思う。



運転席の30cm後方に配置された「ミドシップ」フラット6のエンジン・フィールやアクセル・レスポンスは、クイックで無駄がない。エンジンは自然吸気だからこそ、低速域から高速域までパワーの吹き上がりは一貫してシャープで出力が余る感じ。5000回転を超えたら、エンジンの特性や乾いたサウンドが一段とスリル度を増してくれる。

今回のモデルでは、6速MTしか用意されていないが、そのシフトフィールはスムーズかつ正確で、しかも次に選択するギアにぴったりとマッチングする回転数に合わせてくれる「オートブリップ」機能も付いている。これがあるだけで、運転が急に上手くなったと感じてしまう。
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文=ピーター・ライオン

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