新型コロナ感染者を「匂い」で特定? 探知犬と装置の導入を検討

Photo by Bill Pugliano/Getty Images

新型コロナウイルスに感染しているかどうか、匂いで判断することは可能なのだろうか──?その答えが、間もなく示されることになるかもしれない。

英政府はおよそ60万ドル(約6450万円)を投資、空港などで利用されている麻薬探知犬に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者を特定させることが可能かどうか、明らかにするための研究を行っている。

米CNNによると、政府の支援受けてこの研究を進めているロンドン大学衛生熱帯医学大学院のチームは、COVID-19患者が使ったマスクやナイロン製の靴下を用い、ラブラドールとコッカースパニエル合わせて6匹を訓練中。感染していながら何の症状も出ていない人を探知することができるかどうか、実験を行う計画だ。

一方、カリフォルニア州サンラファエルを拠点とするコニーク(Koniku)は、欧州の航空機メーカー、エアバスと提携。化学物質や爆発物だけでなく、コロナウイルスのような生物学的脅威を検出することも可能な装置の発売を目指している。

コニークの創業者で最高経営責任者(CEO)のオシオレノヤ・アガビはフォーブスに対し、現在のところ“まったく予備的”な段階だとしながらも、米食品医薬品局(FDA)からも協力を得ていることを明らかにした。

同社は空気中の標的分子化合物に反応する生細胞をベースとした技術を開発しており、この装置は完成すれば、新型コロナウイルスに感染した人を特定することも可能と見込んでいる。今年第4四半期までに、空港でのテストを開始したい考えだ。

アガビCEOによれば、コニークはこの装置を空港の入り口に設置。利用者が健康であることを呼気から確認できれば、施設内に入ることを認めるという仕組みを検討している。空港のほか、スタジアムや食料品店、大勢の人が集まるその他の場所でも、この装置を利用できるようにしたいという。

同CEOは、「米経済に対する消費者の信頼回復に貢献する義務があると考えている」と話している。

匂いの検出はこれまで、機械化が非常に困難なものとされてきた。各国の空港でいまだに探知犬が使われているのは、そのためだ。英紙フィナンシャル・タイムズはこうしたコニークの主張に対し、「“懐疑的な見方”を十分に維持しておくことが重要だ」と伝えている。

編集=木内涼子

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