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「我々はまずは頻度依存の仮定の元で分析を進めました。多くの疫学研究から頻度依存の仮定の方が現実的であると考えたからです。指摘いただいたのは密度依存性を考慮していないという点。どちらが正しいのかというと、おそらく両者の中間ぐらいが正しい評価になるのではないかと現時点では予想しています。指摘をもらった方ともウェブ会議で意見交換をし、妥当な評価をできるように模索しています」

資料にも課題として記載されており、当時から認識はされていたが、それを考慮するために必要なデータがなかった。すでにソフトバンク系のAgoop社とも提携し、500mメッシュよりも狭い範囲での詳細な情報や人の移動がわかる動線データの他、社会調査アンケートの活用も検討している。

今後はさらに分析対象を広げたい考えだ。「接触の分析を突き詰めていくと、どういう状況だと感染に繋がるかが間接的に見えてきます。自粛を解除するにあたって、強い自粛が必要なところとそれ以外を切り分けられれば、経済的損失を可能な限り抑えることもできるはずです。他にもクラスターの早期発見や人の行動のシミュレーションなどいろいろな可能性を模索しています」

アルベルトにとって官公庁との大規模な分析プロジェクトは初めてだが、同社の技術と「非常に親和性が高い」と中村は感じている。

「さまざまな業態の事業者が保有するデータを組み合わせて推定する取り組みで、データサイエンスの高い専門性を持つ人材が一定数必要です。これだけの技術者からなるチームを迅速に組成し、適切な手順で効果的にデータを分析できる企業はほかにないでしょう。おそらく我々しかできないと思っています」

社内からは「自分もチャンスがあればぜひこのプロジェクトに加わりたい」と声をかけてくれる人もいた。注目度の高さを改めて感じている。

(編集注:発言はクラスター班の公式見解ではなく、中村氏の個人的見解)


取材に応じた松本壮志代表取締役社長(左)と中村一翔データソリューション本部プロジェクト推進部副部長(右)

2回目は『コロナ後も「絶対にデータ分析はやめてはいけない!」初動の悔い、第2波の教訓に』を参照。 


なかむら・かずと◎ALBERTデータソリューション本部プロジェクト推進部副部長。大学院では「理論化学」という化学と数学の中間領域を研究。5年前に同社に入社し、データサイエンティストとして、通信事業者の位置情報を使ったマーケティングや製造業向けの外観検査のツールなど、機械学習を使って多様な事業者とプロジェクトを実施。1987年、東京都生まれ。

文=成相通子 写真=帆足宗洋

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