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「足を踏み入れて、驚きました。ホワイトボードにポケットWiFiのIDとパスワードが書いてある。個々人がポケットWiFiでネットワークに繋ぎ、ローカル端末のノートパソコンで分析していて、使うツールも統一されていませんでした」(中村)

接触の評価に使うのは数十ギガにも及ぶビッグデータ。全国をカバーし、1時間に1度の頻度で更新される。データの種類や数が増えればローカル端末で管理するのは限界があるのは明らかだった。

クラスター対策班ができたのは2月25日。班員として大学の研究室のメンバーや、厚労省の他部署からの応援部隊など、さまざまな人が集められた。全国の保健所を訪れてヒアリングし、その結果をエクセルシートに手打ちで入力するなど膨大な業務を担い、アクセス環境の整備や分析に使う共通のソフトウェアの導入もまだまだだった。

「我々は普段の業務で、複数人で体制を組んで効果的に分析を回しています。分析環境の構築・運用や、数理モデルや機械学習を用いた分析、班内全体の業務効率化や人的リソースの調達・管理まで含めて、支援できるところは大いにあるという印象でした。翌々日から具体的な支援の形を厚労省と詰めていきました」

1週間後の4月10日。アルベルトの社員7人が臨時国家公務員の「厚労省参与」の立場で正式にクラスター班に加わった。7人は20代から40代の機械学習や数理統計やシステム技術に詳しいデータサイエンティスト。社内で過去に通信事業者の位置情報、人口動態情報を扱うプロジェクトに携わっていた経験があり、今回の業務に賛同したメンバーだ。

社員が臨時国家公務員になるにあたり、人事ルールも話し合った。週の半分は厚労省で勤務、残りはアルベルトの本社と自宅のフレキシブルな勤務とし、イレギュラーな勤務時間になっても必ず週に1日は休めるようにし、残業の上限も決めた。参与としての報酬は受け取らない方針だ。

クラスター班としてまず取り掛かったのが、セキュリティ面の強化だった。班員だけがアクセスできるクラウド環境を構築。データ量が増えた時にも対応できる分析環境を整えた。

文=成相通子 写真=帆足宗洋

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