米国の雇用、減少分の42%が永久消失か

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新型コロナウイルスの感染者急増による医療崩壊を防ぐためにロックダウン(都市封鎖)が実施された米国では、およそ3600万人の雇用が失われた。しかし、経済がV字あるいはU字回復したとしても、全員が再雇用されるわけではない。シカゴ大学の推定では、今回レイオフされた人のうち、42%の雇用は永久に失われるだろうという。

シカゴ大学ベッカー・フリードマン研究所のホセ・マリア・バレロ(Jose Maria Barrero)、ニック・ブルーム(Nick Bloom)、スティーヴン・デイヴィス(Steven Davis)は、2020年5月5日に発表された研究報告書「COVID-19 As A Reallocation Shock(再配置ショックとしての新型コロナウイルス)」で、以下のように述べている。「新型コロナウイルスの影響でレイオフされた労働者10人のうち、新たに雇用されるのは3人だと見られる。─中略─ 今回レイオフされた人の42%は、そのまま永久に雇用が失われると我々は推定している」

職を失った労働者の大半は現在、失業保険で生き延びており、失業保険の新規申請者は記録的な数に達している。つまり、パートタイマーを含めた一部の労働者は、実際に働いて得ていた給与と同額かそれ以上を失業保険で手にしているわけだ。

とはいえ、そうした景気刺激策は永遠に続くものではない。米民主党がベーシックインカム政策を首尾よく導入し、月額2000ドルが支給されるようになり、給料の不足分を十分に補えるようになれば話は別だが。

2020年5月14日に発表された、5月9日までの1週間で申請された新規失業保険件数は298万件だった。300万件を超えた前週を下回ったとはいえ、差はほとんどない。298万件という新規失業保険申請件数は、コンセンサス予想よりも多い。バークレイズ投資銀行は、9日までの新規申請数を250万件と予想していた。

「実情は見た目よりも深刻だ」と話すのは、ペンシルベニア州にある資産管理会社グレンミード(Glenmede)の投資ストラテジスト、マイケル・レイノルズ(Michael Reynolds)だ。

投資家たちは、各州が自宅隔離命令を解除すればすぐにでも経済が回復するだろうと踏んでいる。しかし、回復するのがいつになるのか、断言するのは困難になる一方だ。

オハイオ州の投資信託会社タッチストーン(Touchstone)のグローバル市場ストラテジスト、クリット・トーマス(Crit Thomas)は、「回復時期を予想する納得できる方法は存在しない。不況が始まって、それを切り抜けるのにどのくらいの時間を要するか聞かれたら、歴史を振り返ることでかなりうまく予想できるものだが、今回はそれができない」と話す。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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