カヴートは5月18日放送の番組で視聴者に対し、「(服用すれば)死ぬかもしれない——いくら強調しても足りない」と訴えた。
トランプは以前から、ヒドロキシクロロキンが新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の治療薬になり得ると大げさに主張してきた。だが、これまでの複数の研究結果から、この薬にはCovid-19の治療薬としての効果は期待できないとみられている。
米保健当局も、この薬は命に関わる症状を引き起こす危険性があるとして注意を喚起している。国立衛生研究所(NIH)は、「Covid-19の治療に使うべきではない」と勧告。食品医薬品局(FDA)も、臨床試験と病院で処方する場合以外では、使用しないようにと警告している。
カヴートはこうした医療関係者らの見解を強調。トランプの主張が誤っていることを証明する複数の研究結果が発表されていると紹介した。また、「大統領が“大丈夫だ”と言っても、ウイルス感染の治療薬として使用しないように」と呼び掛けた。
トランプはこれを受け、カヴートを「ばか者」とツイート。その後さらに、「愚かでだまされやすい」と投稿している。そのほかにも、複数の女性からセクハラで訴えられ、2017年に辞任した故ロジャー・エイルズ元最高経営責者(CEO)を“偉大だ”“恋しい”と述べ、「FOXニュースは変わってしまった」とコメントした。
なぜか効果を強調
トランプは繰り返し、ヒドロキシクロロキンに関する保健当局の見解をはねつけてきた。記者団に対しては、「自分の直感に従う方がいい」と話している。
記者会見でこの薬を宣伝した4月5日には、「私が医者ではないことは分かっている。だが、私には常識がある」と発言。5月18日には、「コロナウイルスが私たちに感染するのをこの薬が防ぐという証拠は?」と尋ねられ、「電話や手紙で肯定的な話を聞いた」と回答した。
ホワイトハウスはこの件に関して、専属医であるショーン・コンリー医師の手紙を公開している。同医師は感染検査でホワイトハウスの職員に陽性反応が出たことに言及した上で、「大統領は健康だ」と述べ、次のように説明している。
「ヒドロキシクロロキンの使用に関して大統領と何度も話し合った結果、潜在的な治療効果が相対リスクを上回ると判断した」
トランプによれば、この薬に関してこれまでに聞いた“唯一の”否定的な意見は、退役軍人省が発表した「ヒドロキシクロロキンにはCovid-19の予防効果がない」との研究結果だという。トランプはその結果を「非常に非科学的なものだった」と批評。「虚偽だ」とツイッターに投稿している。
ヒドロキシクロロキンはコロナウイルスに対する効果がなく、心臓に問題を引き起こす可能性があると結論付けた研究は、他にもいくつもある。