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世界各地で新型コロナウイルスの感染拡大を受けたロックダウン(都市封鎖)が徐々に解かれるなか、各国は国外の動きにも目を向け始めている。警戒すべきなのはテロ組織の動向だ。今回のパンデミック(世界的大流行)はイスラム教スンニ派過激組織の「ボコ・ハラム」や「イスラム国(IS)」をはじめとするテロ組織にとって、支配を強化したり勢力を拡大したりする好機になっているからだ。

キリスト教徒の迫害を監視する団体「オープン・ドアーズ」は4月、ボコ・ハラムなどのテロ組織が支配領域を著しく広げ始めたと報告した。ナイジェリア北部を拠点とするボコ・ハラムについては、サハラ以南のアフリカの一部を標的にしていると指摘している。

報道によると、3月23日にはチャドでボコ・ハラムによる襲撃があり、兵士93人が死亡した。オープン・ドアーズは、今回のロックダウンによって、ボコ・ハラムが支配領域をさらに広げる恐れがあると懸念を示している。

イラクとシリアの一部を支配していたISも、ここへきて勢力を盛り返しつつあるようだ。ISに対しては掃討作戦がある程度成功を収めたものの、戦闘はまだ終わっていない。

ISの性的虐待から逃れ、2018年のノーベル平和賞を受賞したイラク出身の人権活動家ナディア・ムラドは今月、イラクで最近、複数の治安要員がISに殺害されたことに言及し、ISはなお「イラクと世界にとって大きな脅威」だと警鐘を鳴らした。

テロ組織は影響力を広げるためにイデオロギーを大いに利用する。ボコ・ハラムの指導者アブバカル・シェカウは、新型コロナウイルスのパンデミックは「邪悪なもの」によって引き起こされたと主張し、自身の奉じるイスラムは「抗ウイルス」だと宣伝している。ISも引き続きプロパガンダを通じて、欧米を攻撃し、その弱点につけ込むよう支持者に呼びかけている。

わたしたちは今後、コロナ禍に見舞われた世界に適応し、ビジネスのやり方や人との交流の仕方、時間の使い方などを変えていくなかでも、世界の状況に目をつぶってはならない。とりわけ、依然としてテロの被害が最も深刻な地域のことを無視してはいけない。

さもないと、新型コロナウイルスの脅威がなくなったかと思えば、その間にテロの脅威がひそかに拡大するのを許していた、という事態になりかねない。その脅威はテロが起きている場所で生活する人たちだけでなく、わたしたち全員にもかかわるものになるだろう。

新型コロナウイルスによって変えられてはならないこともある。わたしたちはこれからもテロに屈しない姿勢を堅持すべきだし、テロ被害を最も受けやすいコミュニティーをそのリスクから守っていくべきだ。

編集=江戸伸禎

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