ビジネス

2020.06.01

自分が動けば味方は見つかる 社会をよりよくしたいなら迷わず起業せよ

RUNSTUDIO/Getty Images


起業家は「社会を変えることができる」


元榮:経営していて楽しいところ、やりがいを感じるところはどこですか?

重松:スペースマーケットにはスペースを貸し出す「ホスト」と、利用してくれる「ゲスト」がいて、両方に喜んでもらえることですね。地方の古民家などのように、価値を生んでいなかったものが価値を生み、それどころか収益を生んで経済が回るようになる。そうしたことが日本中でも起きるようになっているんです。これをつくり出せているのは楽しいですよね。

元榮:新たに価値を生む、お客様に喜んでいただく、こういった点は本当に喜びですよね。そういった目指すべきビジョンの部分と、実際の資金や利益というビジネスをうまく回すバランスについては、どう捉えていますか?

重松:ビジョンを突き詰めていけばいくほど、自然と儲かるようになっていると感じます。それがわかって、心強くなりました。

ビジョンをしっかり提示することで優秀な人材も集まるし、利用者も増えるし、収益も上がっていくし、社会も認めてくれて上場もできたと感じています。

「論語と算盤」(渋沢栄一著)のように、「ビジョン」と「利益」は両輪だと思うんです。この両輪を実現する。きれいごとばかりで売上が立たないのであれば、ビジョンややり方が間違っているのかもしれない。ですから、両方磨いていく必要があると思います。

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スペースマーケット 重松大輔氏

元榮:起業家は、新しい価値をつくったり、社会を変えていったりすることを実感できる場面が多いですからね、そこはやりがいを感じます。

僕の場合は、「一見さんお断り」という弁護士の世界で、助けを必要とする人が弁護士を探すのに苦労する、会えない、繋がれないという現状を変えたいと思った。だから、ネットで弁護士に無料で相談できるプラットフォームを提供してきました。そういったサービスをユーザーが喜んでくれて、感謝のメッセージがたくさん寄せられたりすることが、やりがいの極地ですよね。

現在、弁護士ドットコムが開発して、提供している電子契約サービスの「クラウドサイン」に関しても、ユーザーからたくさんお礼のメッセージをいただきます。ツイッターでも「電子契約は素晴らしい」といった声をたくさん聞くとうれしいですよね。

仲間がどんどん増えていくのも、やりがいを感じるひとつですね。自宅でひとりで立ち上げた当時は、孤独で無名でしたから。ソーシャルゲームの爆発的な盛り上がりや、クーポン共同購入サイトの大当たりを横目で眺めながら、こつこつとやってきたんです(笑)。

そこに仲間が集まって、社会的にも「専門家の領域にもチャンスがあったんだね」とみんなが理解してくれるようになった。それはたまらない喜びですね。

さらに面白いのは、それらが「複利」になっていく点です。年々、認知度も信用力も仲間も業績も、複利で増えていくんです。

重松:そうそう、それは実感としてわかります。

元榮:弁護士ドットコムも売上1億円になるまで苦労しました。でも、1億円に達すると、言い換えれば複利で元本がちゃんとできてくると、複利の伸び幅が急拡大する。あらゆる側面でそれを感じますね。業績面、ユーザー面、ユーザー価値面、社員数がどんどん拡大して、「経営は楽しいな」と感じます。

それに、ずっと経営を続けていると、同じ時代の経営者、いまだと孫正義さんとか柳井正さんとか永守重信さんなどは、まさに仰ぎ見る存在ですけれども、自分たちも彼らくらいの年齢になったときには、同じくらいのことができているかもしれない、そんな希望も持てますよね。

柳井さんだって、広島証券取引所に上場したときの売上は40数億円。現在の弁護士ドットコムと変わらないんだから。
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文=元榮太一郎

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