ビジネス

2020.06.01

自分が動けば味方は見つかる 社会をよりよくしたいなら迷わず起業せよ

RUNSTUDIO/Getty Images


パラレルキャリアの時代がやってくる


元榮:ベンチャー企業に飛び込んで来てくれる優秀な人材を増やすために、小学校から高校までの教育課程のどこかで、「起業家」という存在と「起業する」という選択肢を、もっと知ってもらいたいと思っています。

トーマス・エジソンなどの「過去の偉人」としてではなくて、もう少しリアルで、自分の生き方のロールモデルになるような起業家について、学校教育で教えてもいいと思っています。

重松:起業家という存在や仕事の中身を、具体的に認識・理解できていないのかもしれませんね。僕も大学生になってから、初めて起業家というものを認識しましたから。

元榮:僕にいたっては、起業なんてまるで考えていなかった。司法試験を受けることしか考えていなかったんです。起業という道があると初めて気がついたのは、実に27歳のときです。楽天が楽天証券をM&Aをするときに、「上場ネットベンチャー企業というものがあるのか、何だこれは」と思ったんです。なんかすごそうだけれど、同じ人間がやっているのなら、自分にもできるはずだって(笑)。

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弁護士ドットコム 元榮太一郎

重松:そういう思いは本当に大事です。

元榮:前にも言ったように、それも勘違いなんですけどね(笑)。

重松:シリコンバレーだってそうじゃないですか。世界中から野心を持った連中が集まって、野球で言えば甲子園の全国大会みたいになっている。

元榮:いまの若い方たちは、起業や起業家について、「怖い」「リスクがある」と感じてしまっているところもあると思うんです。

重松:本当は、いまそのあたりのリスクは、かなりヘッジされていますよね。たとえば、「投資」というのは、仮に失敗しても「ナイスチャレンジ」と言われるべきものなんです。そこを子どもたちに教えるべきだと思います。まさに「金持ち父さん貧乏父さん」(ロバート・キヨサキ著)ですよね。

元榮:そう。あの本を読むと、大企業にずっと勤め続けることのほうがリスクかもしれないと考えるようになると思うんですよね。

起業家は失敗したとしても、命までは取られないと僕は思っている。最近はダブルインカムの家庭も多いから、パートナーの収入に頼れる場合もあるし。起業やチャレンジに対して何を恐れているのか、まったくわからない。

重松:これから、AIやロボットなどのテクノロジーもどんどん発達し、企業内での効率化も進むと思うんです。大企業も、法的に定年が延びたことを「これはリスクだ」と感じているのでしょう、45歳以上に早期退職を促している。

この動きはどんどん進んで、実質的には40歳や45歳で早期退職というような社会になっていくと思うんですよ。会社としてはそこで1回区切って出ていってもらう。

残るのは幹部やスペシャリスト。会社の外に出た人は、それまでとは違うチャレンジをするという社会ですね。

元榮:まさにそれは、パラレルにキャリアが要求される「複業社会」ですよね。これが進んでいくと、ひとつの企業だけではなく、いろいろな場所に所属したり、インディペンデントで活動したりというようなハイブリッド型のワークスタイルになっていくのではないかと思います。

終身雇用や年功序列のような会社でないと生きていけない、これまでのビジネスパーソンとはまったく違った人たちが生まれていくという意味では、「個」が強い社会になっていくと思いますね。

重松:複数のコミュニティで自分の個性を発揮して、所属する会社は、いままでだったら1社限定だったものが、スタートアップで活躍してもいいし、地域で何かやってもいいし、特技を生かして副業してもいい。いろんな形になっていくと思いますね。
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文=元榮太一郎

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