脱グーグル後のファーウェイが狙う「コネクテッドカー」の覇権

ファーウェイ開発の「HarmonyOS」(ThamKC / Shutterstock.com)


スマホにとって、ナビゲーションはなくてはならない機能の1つだ。ファーウェイは米政府の禁輸措置を受けてグーグルマップを失った。

ファーウェイが選択したのは、地図サービスの「Here」との提携だ。これは驚きをもって受け止められたが、非常に賢明な判断だったと言える。同社はまた、インド市場向けには「MapmyIndia」とパートナーシップを締結した。

ファーウェイにとって、HiCarのリリースはスマートフォンの領域を超えた自動車戦略の一環だ。HiCarは予防保全や故障診断、フリートマネジメント、安全支援などインフォテイメントを超えたスマートフォンと車両のインテグレーションを実現し、消費者向けというよりは、自動車メーカー向けのテクノロジーだと言える。

「クルマのインターネット」の覇権


ファーウェイは、「Internet of Vehicles」のソリューションとクラウドプラットフォームを自動車メーカーやその顧客に提供することを目指している。同社の事業スケールやOSを活かせば、自動車メーカーは自社開発しなくても、幅広いサービスをデジタル化することが可能になる。

アップルやウェイモ、テスラなど主力自動車メーカーが自動車開発を目指しているのに対し、ファーウェイの戦略は、次世代車両にICTを提供することだ。

ファーウェイは、車両開発やデータ保有の意思がなく、グーグルやアップルのような脅威にならないことを自動車メーカーにアピールしている。自動車メーカーはファーウェイに主導権を奪われることを心配せず、同社の先端テクノロジーを活用することが可能だ。

数百万人のファーウェイユーザーにとっては、同社のOSとモバイルサービスによってスマートフォンから車までプラットフォームを横断した体験をすることができ、同社が掲げる「シームレスAIライフ」を享受することができる。

同社が米政府のブラックリスト入りをしてから間もなく1年を迎えるが、ファーウェイがHiCarで描くオートモティブ戦略は、グローバル・サプライチェーンにおける複雑性を増すことになるだろう。

編集=上田裕資

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