5Gで人間はもっと自由になる KDDIが考えるスポーツとエンタメが切り拓く未来とは

KDDI 経営戦略本部・ビジネスインキュベーション推進部長 中馬和彦氏


──インターネットがここまで普及したのは、人間の本質に迫っていたからだという面はあるかと思います。いま、新型コロナウイルスのために、リアル世界でスポーツなどのプレーや練習が自由にできない時代だからこそ、リアルとバーチャルの境目のない世界を考えてしまいますね。

人間は人間らしく、何かに拘束されることなく、自分が持っている多面的なものを、その時その規模の環境で使いわけられるようになる。そういった世界が、5Gで実現できればと考えています。いままでの積み上げられた秩序が、掛け算のトランスフォーメーションで、一旦最適化され、かつ分割されていく。だから、人間はこれからもっと自由になれると考えています。そんな世界がすぐそこまで来ている。

とはいえ、リアルな世界のインターネット化には、時間がかかります。リアルなビルや交通も、通信が入った完全な状態で5G化を整備するには、一度リプレイスしなければならないからです。建て替えのタイミングで変えるとすると、5年も10年もかかる。

なので、インターネットのリアル化が先行して、進化していく。ゲームや映画のような仮想世界がまずできて、それがリアルの世界へと反映される。それによって社会が徐々にスクラップアンドビルドされて、10年ぐらい経つと、完全に5Gがビルドされた社会となります。すると、インターネットがリアルにもバーチャルにも両方にあって、人間が個人のペースでいろんなところへ自由に往き来できるようになるのではないでしょうか。

──新型コロナウイルスの前と後では世界はがらりと変わると言われています。この人類未曾有の危機が、来たるべき新しい時代の入り口だという人もいますが。

Web会議とかのように、現状の仕事のやり方を、ただデジタルツールに置き換えるだけだと、不都合が出てきます。本当は、来るべき時代に備えて、業務フローそのものを変えなければいけない。ツールだけを置き換えるだけではなく、どうやったら最適化されるか、そういうことを探っていかないといけない。いまは過渡期だと思います。完全なリモート社会を創ること、これまでの自分たちの常識を変えることが、大事だと思います。




中馬 和彦(ちゅうまん・かずひこ)◎KDDI 経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部長。1996年、国際電信電話(現KDDI)入社。INFOBARをはじめライフスタイルブランドiida、au Smart Sports等を手がける。2014年からジュピターテレコム商品企画副本部長。その後ジュピターショップチャンネル(株)執行役員を経て、現在KDDI(株)経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部長として、ベンチャー支援プログラムKDDI ∞ Laboやベンチャー投資ファンドKDDI Open Innovation Fundを統括。

文=上野直彦 写真=Noriko NAGANO

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