米のバーチャル卒業式、オプラがスピーチにこめたメッセージ

オプラ・ウィンフリー(Tom Cooper/Getty Images)

米人気司会者のオプラ・ウィンフリーは先週、フェイスブックが主催したバーチャル卒業式でのスピーチで、「今年の卒業生はいまだかつてなく、目的意識やビジョン、情熱、エネルギー、希望を持って未来への一歩を踏み出すことを呼び掛けられている」と語った。

今年の卒業生はバーチャルなステージを歩き、多くの学生ローンを抱えた状態で、史上最悪の求人市場へと足を踏み入れようとしている。新型コロナウイルスにより、全米各地の学校が閉鎖され、卒業式がキャンセルされる中、バラク・オバマやレブロン・ジェームズら多くの著名人が、今年の卒業生の旅立ちを祝うべく、ネット配信やテレビ放送を通じたバーチャル卒業式に登場した。

子どもたちは成長する中で、特定のモデルを示されてきた。それは、良い成績を取って良い大学に入り、良い仕事を得るというものだ。しかし、新型ウイルスの大流行によりこのシステムが壊れ、もはやこうしたルールに従うことができない。良い成績を取って良い大学に入ったのに、そこに待っていたのは不況だった。

卒業生にできることは何だろう?

次に自分が寮を出るため荷造りするときは、社会人として初めてのアパートに引っ越すものだと思っていた。しかし、ここ最近の新卒者は、実家暮らしを無期限で続け、母親が作った料理を食べ、子ども時代と同じベッドで寝て、大人として親子関係を再整理しなければならない状況になっている。

こうした若者たちは、失業率が4月には15%近くに急上昇し、最終的には35%まで上がる可能性も出ている求人市場で、最初の仕事を探すことになる。失業率が下がり始めたとしても、求人市場が回復するまでには何年もかかるかもしれない。

危機の中で社会人の仲間入りをするこの世代は社会から手厳しい歓迎を受け、全てが理想通りとはいかないこと、機転を利かせ、回復力を持たなければならないことを学ぶだろう。

オプラは2020年の卒業生に次にように問い掛けた。「皆さんは、新型コロナウイルス感染症がもたらした無秩序を利用し、人々の生き方を整理し直すために到来した招かれざる客として扱うことができるだろうか? 2020年卒業生の皆さんは、バラバラになったものを元通りに戻す方法ではなく、新しく、より進化した常態の作り方を示すことができるだろうか? より公正で優しく、美しく、思いやりがあり、輝かしく、創造的で完全な世界にできるだろうか?」

編集=遠藤宗生

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