パンデミック後の世界、再生可能エネルギーが唯一の道に

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800%の投資回収率も可能な再生可能エネルギーは多額の投資を集めており、2019年に導入されたエネルギー源の72%を占めていた。一方、損失を生むエネルギー源である石炭の経済性は、その排ガスと同じくらい有害だ。

国のエネルギー供給マップを再構築する意義はかつてなく高まっており、それは発展途上国でも同じだ。オーストラリアのような石炭大国でさえも、再生可能エネルギーの価格低下から大きな利益を得ることを計画しており、消費者に設置費を負担させずとも2040年までに太陽光と風力で90%のエネルギー供給をまかなえるようになると見積もっている。

ノルウェーは、2040年までに全ての国内線フライトの電動化を目指している。一方、石油企業の中には、太陽光にも投資しているところもある。その目的は、環境保護に取り組む姿勢を示すこともあるが、単に利益を出せるということも一つの理由だ。

英国は現在、石炭を電力生産に使用しない連続日数の最長記録を更新中だ。また米国ではアイオワやバージニアなどの州が、それぞれのエネルギー計画を見直し、再生可能エネルギーへの切り替えを検討している。米民主党は、新型コロナウイルス危機への対応計画に気候変動対策を加えることを目指し、全米3000万棟の屋根に太陽光発電を設置する資金の提供を考えている。

世界のエネルギー地図塗り変えには多額の資金がかかるようにも思えるが、実際は安上がりだ。火事やハリケーン、洪水などによる災害を考慮すればなおさらだ。気候変動により引き起こされる病気の治療費を計算に入れる、あるいは単に人類全体の存続に値段をつければ、再生可能エネルギーへの移行が望ましいことは、いたって明白だ。

新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、エネルギー地図の再構築を基盤とした経済再構築を行うことは筋が通っている。その必要性は明らかであり、今までできなかった理由は一部の権力者の利益が脅かされるからだということも分かっている。今こそ時代遅れの考えは捨て、思考を変えて、再生可能エネルギーの使用を最優先すべきだ。

編集=遠藤宗生

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