ビジネス

2020.05.23

ミシュラン店が実践 料理テイクアウトの「サブスク」の可能性

実際に「アルゴリズム」が提供しているサブスクで提供している料理


余分を削ぎ取った、0円施策


4月初旬、「最初は地域の方々に知ってもらえたらと思って始めた」というこのテイクアウトだが、その後にテレビでの報道や口コミによって認知度が向上。アルゴリズムはその際、テイクアウトの申し込み条件に「Facebook or Instagram アカウントフォロー」を設けた。

SNSアカウントのフォロワーが増えれば、店側としては、認知度の拡大や新規客の獲得につながる。利用者としては、投稿で毎日のメニューを確認できるため「フォローしている意味」を実感できたのがよかった。


「アルゴリズム」のFacebookページ。毎日のメニューや食べ方、オプションが紹介されている

今はどうしても通常時と比べると売上が落ちてしまう。しかし、そこで売上を落とさないように高単価のテイクアウトを提供するのではなく、価格は抑えつつ、フォロワーやファンを着実に増やしていく。するとこの時期のマイナス分は、のちの売上につながる一種の「宣伝費」ととれるのかもしれない。アルゴリズムの仕組みは、そんな「異なるものの捉え方」を教えてくれた。

この方法であれば、ウーバーイーツのエリア外だから……など外的要因に左右されることもなく、「飲食サービスの利用料・手数料0円」「宣伝費0円」「容器代0円」「配送代0円」が実現する。

東京の自粛緩和の流れを受け、アルゴリズムのテイクアウトは終了してしまうが、コロナ禍をきっかけに、テイクアウトは店にも利用者にも定着してきた感がある。すぐに元通りとはならない生活の中で、継続する店、これから始める店もあるはずだ。その際にこのサブスクの方法は、無理なく継続できる方法として、広がりをみせるのではないだろうか。

連載:砂押貴久のエモーショナルライフ
過去記事はこちら>>

文=砂押 貴久

タグ:

連載

新型コロナウイルス特集

ForbesBrandVoice

人気記事