Xenoma(ゼノマ)CEOの網盛一郎氏
着ることができるデバイスを実現する技術は、その名も「e-skin」という。e-skinは布の上に電子回路を形成する技術で、生地の伸び縮みに従って回路自体もしなやかに伸縮する。製品の一つを見せてもらったところ、伸縮性の高い素材の表面にセンサーとそれらを繋ぐ回路が付いている。回路はシルバーのテープ素材で覆われており、そのラインが作るナスカの地上絵のような模様がスタイリッシュだ。胸の部分に小型のバッテリーパックが付いており、そこから回路を通じてセンサーに給電している。
e-skinを使えばアパレルに様々なセンサーを搭載することが可能だ。ジャイロセンサーや加速度センサーなどを搭載した製品を着用して動いてもらったところ、普通のレギンスと同じくらいスムーズに運動でき、回路が伸縮しているのがわかる。驚くべきことに、人の動きがリアルタイムにモーションキャプチャーされ、モニターに映し出されていた。
人の「動き」をデータ化する
e-skinによるモーションキャプチャー
ウェアラブルデバイスで計測する身体データというと、心拍や体温、血糖値などがポピュラーだが、e-skinはバイタルデータだけでなく、着用している人の「動き」もデータとして可視化する。例えば、高齢者がe-skinを着ていれば、転倒検知はもちろん、転倒した際に身体のどこを打ったのかがわかるようになる。どこを打ったのかがデータからわかれば、適切な治療を選択する手助けになるだろう。
また、身体の歪みや姿勢の計測もできるため、トレーニングやリハビリで活用すれば効率よく効果を上げることも可能になるだろう。現在は技術の一部が保育の現場でも活用されていて、保育士の業務負荷軽減に役立っているそうだ。
乳幼児突然死症候群を防ぐため、東京都では0歳児は5分に1回、1〜2歳児は10分に1回の間隔でうつ伏せになっていないか確認することが推奨されている。確認の度に寝ている向きを記録する必要があるが、センサーを使うことで毎回の記録を自動化できる。