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2020.06.09

人生100年時代の暮らしは血縁より「友縁」? 老後のシェアライフを考える

ジェイティクリエイティブサービス発行、小学館スクウェア発売の雑誌『分』2004年冬号の巻頭。写真=宇佐美雅浩《近谷浩二、徳永俊博、荻原康彦 東京 2001》©︎USAMI Masahiro, Courtesy of Mizuma Art Gallery


現在の彼らに聞いた、「また3人で」はアリか


現在は3人とも家庭を得ているが、「もしも配偶者に先立たれた場合、また3人でシェアハウス、あるいは近くに住むことを考えるか」を聞いてみた。

T.T.:もちろんイエス。

そもそも男3人で住むようになった動機は、当時、1人で暮らしていたワンルームと同じ家賃で、より広くてスペックの高い住居に気の合う仲間と住めるということでした。

例えば、都内で家賃3万3000円っていえば、風呂なしトイレ共同とネズミくんはセット。でも、3人集まって資金が10万円になれば、グレードも「〇〇荘」から「〇〇マンション」になり、生活レベルが一気に上がるわけです。こんな素晴らしい話はないですね。

老後は年金生活が待っていますが、もし妻に先立たれたとしたら、仲間が近くにいることはとても心強いし、それこそ1人だったら死んでも見つけてもらえないかもしれない(笑)。孤独死、社会問題ですよね。高齢化は益々進むでしょうから、より深刻化します。そうならないためにも、僕たちが若いときにしていた「男3人暮らし」のような「シェアライフ」、あるいは「自立型助け合い老人ホーム」、お勧めですね。

Y.H.:もちろん、イエスです。なんなら、今すぐにでも、というくらいの気持ちですね。配偶者に先立たれなくても、夫婦連れでもいいんじゃないですかね。

前回はマンションでしたから、今度は戸建て、あるいは、広い土地に各家族ごと3棟で住んで、中庭でBBQやトレーニングはいかがかな? 車も1台でシェアして。

昔の近所付き合いみたいだけど、付き合いも長いし生い立ちをも知っている。3人で支え合えば、先々の不安も無く、理想的な老後で、歳をとるのがむしろ楽しみですね。

近谷:僕もイエスです。20年前のように3人で3DKをシェアするのはキツいけど、自然豊かな土地にそれぞれログハウスを建てて農作業をしながら暮らしてみたい。ニワトリやヤギも飼って、キャンプファイヤーを囲んで、毎晩わいわいやりながら食事とお酒を楽しみたい。

たまにそれぞれの友人が遊びに来たり、あるいは民泊として海外からのバックパッカーを受け入れても面白い。3人とも未知の世界との遭遇が大好きなんで。


15年後、「久しぶりに集まって飲みませんか?」と、宇佐美雅浩のオフィスに誘われ、当時のルームメイトたちと15年前と同じポーズで(撮影=宇佐美雅浩・右)。さらに、世界を股にかけるイラストレーター、Goro Shimanoがこの成り行きを面白がって、スカイプごしに描いてくれたのが左のイラストという。Illustration (c) Goro Shimano

3人の話を聞いて、筆者はにわかに、仲の良い友人たちと暮らす老後の風景を思い描いていた。
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文=石井節子

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