「ウサギ版の新型コロナ」が米国に拡散、数千匹が既に死亡

Photo by Ali Ihsan Ozturk/Anadolu Agency via Getty Images

ウサギの間で広まる「兎ウイルス性出血病(RHD)」のタイプ2(RHDV2)が、 米国南西部で数千匹のウサギを死滅させ、ウサギを餌とする野生動物にも危機をもたらしている。

新型コロナウイルスはコウモリから人間に広まったものとされているが、科学者らは兎ウイルス性出血病が家畜から欧州の野生のウサギに広まったと考えている。

ここ最近、コロラドやカリフォルニア、テキサス、アリゾナ、ニューメキシコ、ネバダなどの州で数千匹の野生のウサギがこの病気にかかり死んでいるのが発見された。兎ウイルス性出血病は、体内の出血や臓器の膨張、肝臓のダメージなどをもたらす病気だ。

欧州ではこの疾病向けのワクチンが開発されたが、米国では未認可の状態だ。しかし、470匹のウサギが死亡したニューメキシコ州の30カ所の牧場は先週、500回分のワクチンを入手し、対処を進めようとしている。

RHDV2は、ワタオウサギやオグロジャックウサギ、レイヨウジャックウサギなどの間で広まっているが、ワシントン・ポストによると幸いなことに、これらの種は絶滅からはほど遠いという。

CNNの報道によると、研究者らはRHDV2によって希少なウサギの種が滅んでしまうことや、これらのウサギを餌とする野生動物への影響を危惧している。RHDV2がウサギから人間にうつる危険はないという。

しかし、ペットとしてウサギを飼っている人は、野生のウサギや鳥と愛するペットが接触しないよう、厳重な注意を行う必要がある。

兎ウイルス性出血病のタイプ1は1984年に中国で発見され、研究者らはアンゴラウサギから感染が始まったと考えている。タイプ2は2010年にフランスで発生した後、欧州に広まり、近年はオーストラリアやカナダ、米国においても感染が確認されるようになった。

2019年の米国農務省(USDA)の推定で、米国におけるウサギ関連の市場規模は22億ドル以上とされた。そのうち約80%はペットとしての需要で、米国では290万世帯が690万匹のウサギを飼育しているという。

RHDV2の封じ込めに失敗した場合、感染はペットのウサギや食肉分野にも広がり、経済にダメージを及ぼす危険があると農務省は述べている。病気にかかったウサギや死体を発見した場合は、決して触らず、地元の野生動物保護局に報告すべきとされている。

編集=上田裕資

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