米国の規制強化、ファーウェイ幹部が胸中語る 「必ずや解決策を見つけ出す」

Huawei副会長兼輪番会長の郭平氏

米中貿易戦争のフォーカスとなっているファーウェイがさらなる苦境に立たされている。5月15日、米政府がファーウェイに対する輸出管理規制を修正、さらに厳しい措置を講じることになった。半導体部品の調達が難しくなるためファーウェイには大きな痛手となるが、ファーウェイ輪番会長の郭平氏は、「近いうちに必ずや解決策を見つける」「生き残りが我々のキーワードだ」と不屈の姿勢を見せた。

2019年5月15日、米国政府は安全保障上の懸念を理由に、ファーウェイを輸出管理規制の対象とする「エンティティリスト」に追加した。エンティティリストに入ることで、米国企業の製品をファーウェイに輸出することが禁じられる。これを受けて、ファーウェイはこの1年、様々な対策をこうじている。その1つとして、グーグルのサービスを利用できなくなったために、グーグルのアプリプラットフォーム「Google Mobile Service」に代わって導入した「Huawei Mobile Service」がある。

ちょうど1年後の今回、米国は制裁をさらに厳しくし、米国以外の企業でも米国の製造装置を使って製造する場合はライセンスを得る必要があると修正を加えた。「米国の輸出管理を弱めようとするファーウェイの取り組みを断つ」と米商務省は記している。

影響は避けられないが、解決策を見出す


すでに、ファーウェイがチップを調達している半導体受託生産のTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)は、ファーウェイからの新規受注を止めたと日本経済新聞は報じている。TSMCは米国に半導体の工場を建築することも発表している。

ファーウェイは5月18日、以前から予定していたアナリスト向けイベント「Huawei Global Analyst Summit 2020」を中国・深センとオンラインで開催、基調講演で郭平氏は米国政府の対策に触れ、「影響は避けられない」と述べた。一方で、「この1年は難しい年だったにもかかわらず、事業を継続できた。困難のおかげで、ファーウェイはこれまでよりも層の厚いスキームを開発しており、すぐに解決策を見出す」とも誓った。

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Huaweiの郭平氏は自社を弾丸で穴のあいた飛行機に例え、「この一年、穴をふさぐことが最優先課題だった」「我々は生き残る」と述べた。

米国の措置により「標準とサプライチェーンが分断されると、業界は恐ろしい対価を払うことになる」と主張する郭平氏は、携帯電話の世代の変化における米国と欧州を対比して説明した。

2Gから3Gに移行するとき、米国はW-CDMA、CDMA2000と分かれた。通信機器ベンダーはキャリアの要件に合わせる必要があり、スケールができない。これが米国の通信機器ベンダーを衰退させた、と郭平氏。実際、米国のモバイル技術企業だったモトローラは2010年に通信機器事業をノキアに売却している(取引完了は2011年、モトローラの携帯電話事業はグーグルを経てレノボの傘下に入っている)。
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文・写真=末岡洋子

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