ビジネス

2020.05.20

コロナの次に取り組むべきは気候変動の危機だ


未来に投資してるベンチャーキャピタリストとして、私は基本的に楽観的な視点で物事を捉えます。怠慢や、対処する能力の不足により現在の状況にいたってしまったかもしれませんが、科学とテクノロジーによって克服できると私は信じています。

ここ最近のCO2排出量の減少について考えてみてください。排出量の減少は人の移動が大幅に減ったことが大きな要因ですが、今回のパンデミックの経験から、ビデオ会議などのリモートワークのツールを使えば多くの物理的な移動が不要になることに気づき始めたと思います。

バーチャル・リアリティ技術の発展によってこの傾向はますます顕著になるかもしれません。さらに、海外に製造拠点を置く場合、システミックな危機が発生した際にサプライチェーンが深刻な影響を受ける可能性があるということが、今回のパンデミックによって明らかになりました。

今後オートメーションや3Dプリンティング技術が進歩すれば、高い費用対効果で多くの製造を再び国内で行えるようになるかもしれません。そうすることで、危機に対する回復力を高めるだけでなく、Scope 3排出量(企業のバリューチェーンに含まれる間接的な温暖化ガス排出量)も削減することができます。

以上の対策は、いずれもイノベーションの最前線における起業家たちの活躍が重要になります。現在のパンデミックの中で生活を維持するのに欠かせないSlackやZoom、Microsoft、Google、Box、Amazonなどの多くのサービスは起業家たちのおかげで実現しました。

イーロン・マスクがいなければ自動車業界の電気自動車への移行はあのように早く進まなかったでしょう。また、SpaceXのおかげで宇宙産業が再びイノベーションで溢れるようになったことから、惑星間旅行はもはやそう遠い夢ではないかもしれません。もしそのような未来が実現すれば、気候変動との戦いがどのような結末になったとしても、そのときには地球は人類にとっての「SPOF(単一障害点)」ではなくなっているでしょう。

残念ながら、今回のパンデミックによる温暖化ガスの排出量の減少は一時的なものに過ぎません。しかし、新型コロナウイルスから回復する中、世界が新たな危機感を持って気候変動の問題に取り掛かってくれることを私は期待しています。

このパンデミックを通して私たちはシステミックな脅威の深刻さを実感し、怠慢の代償が予防にかかるコストよりずっと高く付くことを学びました。また、科学やテクノロジー、そしてそれらを活用して私たちを前進させてくれる起業家たちが改めて高く評価されるようになることを願っています。私たちの地球の行く末がかかっている問題に対して、投資が足りなかったなどということは許されないのですから。

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