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チャーミングケアで広げる家族の視点


安田さんは、途上国での小児がん治療の現場での経験を踏まえてこう語る。

「日本は皆保険制度で、基本的に子どもの治療にお金がかからないですが、海外では保険制度が違うため、経済的な理由で治療が受けられないケースが多くあります。
僕が出かけたウズベキスタンでは、医療行為は無償でも、そこに必要な薬や機材などの費用は患者の負担でした。

しかも、冬はマイナス20度、夏は50度にもなるので、冷暖房が完備されていない病棟での治療は過酷そのものでした。そもそも、病院までたどり着けない子どもたちも多いのではないかなという印象も受けました。

そんな厳しい状況ではありましたが、たとえそれが終末期の病気であったとしても、子どもは子どもらしく過ごしていて、それを家族写真という形に残せたのは良かったかなと感じています」

「チャーミングケア」という言葉は、わたしが考えた造語で、病気や障害のある子どもの外見上のケアやメンタルケア、そしてそれに寄り添う保護者に対するケアを指す。まだまだ一般的に認知されているとは言い難いかもしれない。しかし、こうやってさまざまな分野の人たちに話を聞くと、皆が口を揃えて言うのが、「目指しているところが一緒だなと感じる」という言葉だ。

なかでも「笑顔の向こうに繋がる未来プロジェクト」を主宰する安田さんの次のような言葉が印象的で、わたしも心を強くした。

「生きることは大事なことだけど、生きることだけではなく、医療のなかで抜け落ちてしまっている子どもたちに必要なことを、それぞれの強みを活かして支えていけたらいいなと思っています。
きっとそういう思いのある人たちは、どこかで繋がっていくのではないかなと」

わたし自身、こうやって取材をするたびに、少しずつチャーミングケアの輪が繋がっていくことを実感している。これからも、「目指すところが一緒」な活動や製品、そして人たちにフォーカスして、チャーミングケアについての知見をさらに広めていきたいと思っている。

連載:チャーミングケアで広げる家族の視点
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文=石嶋瑞穂

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