経済・社会

2020.05.19 16:30

新型コロナは11月に消滅? 脅威を矮小化するトランプ次男の妄言

エリック・トランプ(Jim Spellman/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領の次男、エリック・トランプは先ごろ出演したFOXニュースの番組で、こう語った──「聞いて下さい。11月3日を過ぎれば、コロナウイルスは魔法のように突然、消えてなくなりますよ。誰もが経済活動を再開できます」。

魔法のように、突然消えてなくなる──? 聞いてほしい。そんなことは、おそらく起こらない。

2020年11月3日は、予定されている米大統領選挙の投票日だ。エリックはなぜか、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)と大統領選には関連性があると思っているらしい。

だが、このウイルスのために米国ではすでに8万9000人以上が死亡し、それ以上の数の人たちが感染して発症したことを知っている人たちは、エリックに同意はしないだろう。

これほど広い地域にわたって感染が拡大したウイルスが、魔法のように消えることはない。公衆衛生上の深刻な緊急事態であるウイルスの流行を、まるで(トランプが出演していたリアリティー番組の)『アプレンティス』の出場者のようにすぐに姿を消すものであるかのように、矮小化し、政治化することは危険だ。

エンデミックになる可能性


実際のところ、世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイク・ライアンは5月13日、「このウイルスは特定の地域で限定的に流行を繰り返すエンデミック(風土病)となり、決して消えることはないかもしれない」と警告している。

ライアンはさらに、「エイズウイルス(HIV)も消えていない」と指摘。「これら2つの(ウイルスが引き起こす)病気を比較しているわけではない。だが、私たちは現実的であることが重要だと思う。病気がいつなくなるのか、なくなることはあるのか、誰にも予測することはできないだろう」と述べている。

一度感染した人が終生免疫を得る、または少なくとも非常に長期にわたって免疫を持ち続けることを示す証拠が見つかっていない新型コロナウイルス感染症が、エンデミックになる可能性は十分にある。
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編集=木内涼子

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