新店の味か、王道の安心感か。自宅で食べたい120点のスイーツ2種


今回の焼き菓子は6種のセットで構成されている。保存料や着色料などを一切使用していない、フィナンシェやパウンドケーキ、ボンボンキャンディなどさまざまな食体験が楽しめるラインナップになっており、その中の一部を紹介したい。


沖縄県産本和香糖と徳島県鳴門の福寿醤油の引き飴

見た目が美しいブロンズカラーのボンボンキャンディ。キャンディはキャンディでも、これは確実に「大人のための」洗練された食べ物である。香り豊かな徳島の鳴門の福寿醤油をベースに、甘みは沖縄の本和香糖など、使用する原料にこだわり、甘塩っぱく奥深さが口いっぱいに広がる風味豊かな味わいになっている。


京都丹波産の黒豆きな粉のロッシェ

つぎに、京都丹波産の黒豆きな粉のロッシェだ。ロッシェとは一般的にナッツ類をチョコレートでコーティングしたフランス菓子なのだが、今回Yamaでは日本人に馴染み深い大豆を使って製造。

フランス語で岩という意味のロッシェは、ザクザクっとした食べ応えが一つの魅力ではあるが、この大豆のロッシェに関して言えば、食感、甘み、香りがとにかく品のある味わいに仕上がっている。従来の力強いロッシェとは違う、優しさが感じられる。


山形県産の蕗の薹と宮崎県の日向夏のココナッツメレンゲ

そして、私が最も感動した焼き菓子がメレンゲである。失礼を承知で申したいのだが、どうしてもメレンゲと聞くと、引き出物の中にある1アイテムとしてのイメージが強く、数ある焼き菓子の中では積極的に自分では購入しない焼き菓子であった。

Yamaのメレンゲは、ココナッツと宮崎の日向夏を用いており、爽やかなフレーバーを想像するかもしれない。しかし、勝俣シェフがあわせたのは、スイーツの素材としてはあまり見かけることのない、山形県産の蕗の薹(ふきのとう)。

Yamaのレストランでは、さまざまな山菜が使用されているが、一見スイーツにはミスマッチに思える食材をうまく組み合わせ、スイーツとして美味しく昇華させている。口の中でふわっと溶けるのに、主張がきちんとある(そして、口の中の水分をもっていかれないというのも素晴らしい)。

メレンゲという焼き菓子のポテンシャルの高さを示してくれたようで、脱帽でしかなかった。

ここまでYamaへの想いを認めたが、あなたが想像をする、いつもの甘い焼き菓子を求めているなら、別の洋菓子店で焼き菓子を頼むことをすすめたい。甘くもなければ、一筋縄ではいかない焼き菓子たちばかりだからだ。

しかし、Yamaの焼き菓子は他では食せない、唯一無二の焼き菓子であることは間違いない。ラグジュアリーやリッチとは少しニュアンス異なるが、確実に上質で忘れられない焼き菓子を食べられることを約束する。

色々な価値観を見つめ直す今だからこそ、一つ一つの焼き菓子に向き合うことで、従来の価値観が更新されるかもしれない。

Yama 6種の菓子セット 4320円(Yama
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文=与儀昇平

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