ブラックホール卓球
ブラックホール(穴)が空いたラケットを使う卓球です。点数を重ねるたびに穴が大きくなり、上手な人が相手でも必ず接戦に。ボールが穴を通過すると失点ですが、通過する姿が美しいので「ナイスホール!」と褒め合うルールです。
当初のお題は「初心者が楽しめるラケットスポーツ開発」です。私はまず複数案の生成(=個体群の用意)をしました。次に、上級者が弱くなる点を評価しスイートスポットに穴を開ける案を親Aに、ラケットの開発しやすさを評価し新しい卓球案を親Bに(=親を選定)。
変な部分を作るべく、ラケットに穴が空いた卓球ラケットを制作。テスト時に、ボールが穴を通った様子を見て「ナイスホール!」と誰かが叫ぶ(=突然変異)と、全員が笑いだしました。初心者でも楽しめるという当初の目的に沿うため、これをルールに即採用(=評価)!
点数を重ねるたびにS〜LLサイズへと、中央の穴が大きくなっていく笑える卓球のルール。
個体群から親を選定し、突然変異を起こすというフローで進むので、アイデアを出すハードルが下がるというのは大きなメリットです。渾身の一案を出す必要がなく気持ちがラクになります。同時に、アイデアの拡散と集約を高速で繰り返すので制限時間内に一定の質が担保されます。
また、異なる個体の価値に気づくという点も魅力でしょう。同じ個体同士では変化が小さいためチーム構成にも多様性が生まれます。私も広告会社メンバー以外に、小学生やシニア、障がいのある友人、家族らと作ることでブレイクスルーしてきました。多様性の魅力に気づきます。
突然変異はエラーであり、失敗でもある。でもそれがないと進化は生まれないのです。人生には突如、うまくいかない出来事や受け入れがたいほどの不幸もやってきます。でも、それさえ僕らにとっての突然変異と捉えたらどうでしょう。
こちらも突然変異の「白いちご」。エラーだけれど、珍しさから一粒数百円の価値になった。
人生におけるイノベーションの兆しだ。そう信じて止まることなく変化を受け入れ、進んでいく。大丈夫、必ず進化がやってきます。精神論ではなく、自然界とAIが実証してくれた進化の法則なのですから。
大瀧 篤◎AI特任リサーチャー。 大学院にてAIの研究や小型衛星開発などに熱中。 現在もAIを活用したクリエイティブに取り組み中。 世界ゆるスポーツ協会理事/スポーツクリエイター。
電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を
活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。