私は大学院までAI系の研究室に所属していました。そこで出会ったのが「遺伝的アルゴリズム」。生物界の仕組みをもとに、プログラミングの世界で突然変異を起こし、進化を生む手法です。それ以来思っているのは「突然変異って、ステキ」ということ。
変化が必要なこの時代だからこそ、意図的に、世の中に突然変異を生みだそう。そんな提案であり、システマチックにアイデアを進化させる手法。名付けて「遺伝的アルゴリズム的プランニング」です。
簡単なフローは、1 複数個体を用意、2 優秀な個体同士を親に選定、3 交叉して子が誕生、4 突然変異を加えて、5 良ければ残す。これを複数回繰り返すことで、環境(お題)に対して最も生き残る遺伝子(適した解)をスピーディーに導き出します。この手法は、アイデア出しやビジネスプラン、教育や組織論など至る所で応用可能ではないでしょうか。
例えばアイデア出しへの応用は、1 個体群を用意=お題に対するアイデアを大量に用意、2 親を選定=評価の高いアイデア2つを親に選ぶ、3 交叉=アイデアAとBの良いところをミックス、4 突然変異=子である新アイデアの一部を無理やり変化、5 評価=目的に対し良いアイデアになれば残す。これを繰り返すのです。
その具体的なフローを、老若男女・障害の有無にかかわらず誰でも楽しめる「ゆるスポーツ」から、私が企画・開発した2競技を紹介します。
トントンボイス相撲
手で土俵を叩くのではなく、「トントン!」と声をが出すと土俵が揺れるリハビリスポーツです。お題は「高齢者の喉のリハビリスポーツの開発」でした。
音声認識と昔ながらの遊びを融合させ、リハビリスポーツへと昇華させたトントン相撲。
まずは、アイデアを量重視で考案(=個体群の用意)。次に、シニアに人気のスポーツ・慣れ親しんだ遊びを評価し「トントン相撲」のアイデアを親Aに、声のリハビリに親和性がある「音声認識」のアイデアを評価し親Bにします(=親を選定)。
AとBを掛け合わせ「声で土俵を揺らすトントン相撲」(=交叉)としたあとに、声を認識して「土俵」を光らせようというアイデアをプラス(=突然変異)。反応する手応えと見た目の楽しさがシニアの皆さんから好評(=評価)。その繰り返しが、笑えて楽しい、かつリハビリにもなるスポーツの新たな進化を生みました。