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2020.06.06 18:00

「マイノリティ言語が母国語」は強い ハリウッドで学んだコミュニケーション術

翻訳出版プロデューサー 近谷浩二

翻訳出版プロデューサー 近谷浩二

近谷浩二は、日本文学を海外に「輸出」する活動を行う翻訳出版プロデューサーだ。白石一文氏、田口ランディ氏らの海外出版の代理人を務めるほか、綿矢りさ氏、中村文則氏、角田光代氏らを海外の文学イベントに推薦・随行するなど、旺盛に日本文学を海外に広めてきた。
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また、新型コロナウイルスの感染拡大によって外出を控える人が世界規模で増えた中、物語を読んでもらうために、辻村深月、恩田陸、浅田次郎、湊かなえはじめ100人の作家が日替わりで小説やエッセーを執筆する講談社の連載企画「Day to Day」(文芸サイト「TREE」で公開中)が5月から始まったが、近谷はこれらの作品の英語版制作総指揮を務めている。

14年間以上、近谷とともに海外を見据えて活動をしてきた田口ランディは、「中央公論」2018年9月号で、次のように書いている。

「彼のようなエージェントは日本にはまだ少ない。日本は国内にそれなりの市場があったので海外に売りに行く必要もなかったのだ。だが、本離れが加速している今では、もう日本の読者だけを頼りにしてはいられない。海外市場、特に中国、台湾、韓国はあたらしい市場だし、ヨーロッパにもアニメや漫画だけでなく文学で挑みたい。そんな野望を持って、近谷氏とは二人三脚で頑張ってきた。これまでに近谷氏の尽力で米国、イタリア、ルーマニア、シンガポールで作品が出版された」
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このように作家たちから信頼され、翻訳出版プロデューサーとして活躍している近谷だが、20代の頃、米国のハリウッドで、まず俳優としてそのキャリアをスタートさせている。そして現在も本業の傍ら、俳優としての活動も行っている。

2015年の映画「STAR SAND -星砂物語-」(監督・ロジャー・パルバース、主題曲・坂本龍一、主演・織田梨沙。「非暴力」と「愛」をテーマに、第二次世界大戦終盤の沖縄の小さな島での米兵と島の娘の交流を描く)では、主人公洋海(ひろみ)との短くも非常に重要なシーンで「憲兵」役を好演している。来年には同じパルバース監督の作品に出演が決まっているという。

そんな二足の草鞋を履く近谷に、俳優修行を通して体得したコミュニケーションの極意や、国際社会における日本人の強みについて聞いた。


「1990年代はロサンゼルスにいて、演技の修行をしながら、ハリウッド映画に出ていました。空手ができるアジア人ということで『忍者』の役などがきましたね」

『Beverly Hills Ninja(ビバリーヒルズ・ニンジャ)』(1997年、ハリウッドのマーシャルアーツ・コメディ映画)に運転手役で出演したことも、ハリウッドでの仕事の1つだ。


写真右、運転席に座る青年が近谷。((c)Sony Pictures Movies & Shows)
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文・構成=石井節子 写真=帆足宗洋

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