ビジネス

2020.05.18

「コロナショック」を生き抜く足固めに。HRテックのROXXが総額9億円を調達

ROXX代表取締役の中嶋汰朗


中嶋の話によれば、採用候補者の経歴や実績に関する情報を、1人あたり平均で2000文字ほど書いてくれている、という。また、リリース後からの進化として、チームに合う・合わないの質問が充実してきたとのこと。

「例えば、チームの理念や自分の利益、チームの利益のどれを追っているタイプなのか、については正解がないですよね。でも、その企業の組織文化に合うかどうかというのは実際にチームで働く上でとても重要なので、そういった質問は増加傾向にあります」

採用面接のオンライン化に取り組んでいるものの、オンラインでの面接を通したコミュニケーションだけでは選考の見極めが難しく、ミスマッチへの懸念を抱えざるを得ない状況が続いている。そんなタイミングだからこそ、中嶋はback checkを多くの企業に使ってもらい、リファレンスチェックそのものを日本の新たな採用文化として広く普及させていこう、と考えている。

「新型コロナウイルスが終息しても、オンライン面接はなくならないと思っています。採用担当と候補者の双方にとって効率が良いですし。ただ、リアルな部分とオンラインの差は非言語コミュニケーションの有無。社内でも社外でもそうですが、1回会ったことがある人とオンラインで話す分には大丈夫ですが、初対面の人とオンラインで話す場合はぎこちなさがお互いに出てしまい、生産性も落ちているのを感じますよね。どうしてもオンライン上のコミュニケーションだけでは心理的に不安な部分が生まれてしまうので、そこを埋めていく1つの手段として、リファレンスチェックは追い風になる、と見ています」

生き残ることが大前提


採用面接のオンライン化が普及し始めたタイミングを機に、ROXXは4月から50名以下の企業を対象に、月に最大3件まで無料でリファレンスを依頼できる「採用応援! back checkゼロ円プラン」の提供を開始しているほか、今回新たに1候補者あたり1000円でリファレンス取得ができるキャンペーン「back checkお試し千円プラン」も開始する。



「どういう環境であれば、候補者が生き生きと働けるのか。逆にどういった環境だとパフォーマンスが発揮できなくなるのか。それを知るための手段として、リファレンスチェックがあるのを知ってほしい。まだ、『リファレンスチェックを怖いもの』と思われているところがあるのですが、そのイメージを変えていきたいですね」

依然、先行きが不透明な状況が続くことが予想される中、今後の展開について中嶋に聞くと、彼は「生き残ることが大前提」とした上で、こう語ってくれた。

「これだけ大変な状況は今が初めてなので、とにかく生き残ることに全力で取り組んでいきたいと思います。まずはそれが大前提。また、サービスの価値は変わらなくても、必要とされるお客様は一気に今変わりつつあるので、サービスのターゲットも急ピッチで変えていっているところです。そういったところは柔軟に対応しつつ、その中でチャンスがあれば新規事業、あるいは他のスタートアップを買収するという動きも一つの可能性として考えています。ただ、今は足元の基盤をしっかり固めて、一喜一憂せずに淡々と事業に取り組んでいきます」

文=新國翔大 写真=小田駿一

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