ビジネス

2020.05.19 15:00

「ビジョニング」で社会とつながる。ニューピース高木新平が語る、コロナ以降のコミュニケーション論


『ビジョニング』へのニーズが高まる中で、彼が今最も力を注ぎたいと考えている領域は一体なんだろうか?

「パブリック、つまり国や地方自治体ですね。今回のコロナで旧態依然としたシステムの問題が浮き彫りになったと思います。リモートワークを呼びかけながら国会や会見はオフライン。マスクなどの支援策の決定も不透明で、補助金などの給付も時間がかかります。パブリックに関わっている方々は社会のためにとても頑張ってくださっているはずだからこそ、アナログなオペレーションシステムを見直し、進化させる必要性を強く感じています。

これまで検討されながらも実施されなかったオンライン診療やオンライン授業がすでに始まっているので、この流れをより加速させ、オンライン投票まで実現できないかなど、僕ら自身何ができるか模索中です。パブリックな変化を起こす上ではもちろん、政治家や市民の両方を納得させ、巻き込めるようなビジョンを掲げることが必須です。

海外では政府の中に、CIOやCTO、スピーチライターやPRなどコミュニケーションを担うプロフェッショナルがいますが、日本ではその体制もまだまだ古いまま。ひとつ良い成功例があるとキャッチアップの早い国だと思うので、自分が先陣を切って様々な事例をつくっていければと思います」

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ニューピースは2020年5月15日、公共と民間の境界線を溶かし、社会変革を目指す機関「NEWPEACE thinktank」をスタート。世論をつくる技術(論点化して世の中の関心・賛同を集める)と、ルールをつくる技術(法案や予算編成、権力構造を調整する)の両輪を育てるプロフェッショナルスクールの運営や、他組織との連携によるソリューション開発および社会実装を行う。

「人は過去を物語にすることで生きていますし、『新しい世の中』を想像することは難しいので、何かを非連続にするイノベーションに対して抵抗を感じるのは当然です。だからこそ、魅力的に、わかりやすく未来を問いかけることが、社会を進化させるためには重要。もともと広告的なコミュニケーションは『まだない世界を想像させ、その未来を欲しくなってもらうための技術』だと思っているので、その力をコロナ以降の時代のために活用していけたらと考えています」

誰もが未来への不安を抱える状況において、企業およびビジネスパーソンは、各々の個性・スキルを社会に対してどう活かせるだろうか。官民の垣根を超えた連携のアイデア、そして共通の「ビジョン」でつながった結束力が、日本の経済・国民の生活を立て直すためのひとつの鍵となるかもしれない。

文=黄 孟志

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