ビジネス

2020.05.19 15:00

「ビジョニング」で社会とつながる。ニューピース高木新平が語る、コロナ以降のコミュニケーション論

ニューピース代表・高木新平氏


これまでに自動運転、SDGs、人生100年時代など様々な概念を社会浸透させるべく、国内外の多岐にわたる団体と共に次世代ビジョンの開発を仕掛けてきたニューピースだが、一方で、拠点である東京の生活者の感覚を活かした企画も多く展開する。
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2018年に立ち上げた“定額で全国住み放題”サービス「ADDress(アドレス)」。全国30カ所以上の空き家をリノベーションし、月額4万円を支払う会員に「住み放題」形式(予約制)で滞在可能にするシェアサービス。法人パックも準備し、都市部の企業のワーケーションや地方での事業創出の契機としても活用。接点も

「『ADDress』は日本の大きなソーシャルイシューとなっている『空き家』を解決しながら、地方創生することを目指した事業です。これまでも地方自治体は移住を促進していましたが、あらゆるものが都市化していく中で移住という選択は容易ではありません。そこで『いつもの場所がいくつもある、という生き方』という言葉で、多拠点生活という新しいライフスタイルを提案しました。新しいライフスタイルに関心がある都会の生活者に対して、『定額 全国住み放題』という謳い文句で打ち出しました。

SNSを起点に大きな反響があり、メディアでも多く取り上げられました。日本の地方創生における構造的課題であった移動交通費に関しても、ビジョンをもとにANAやJR東日本などのインフラ企業を巻き込み、定額パッケージをつくるなど取り組みが進んでいます。小さなスタートアップが社会的な共感を武器に、大きな企業の力も借りることができるのもビジョニングの長所です」
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2019年に大手アパレル企業・アダストリアとともに立ち上げたアップサイクルブランド「FROMSTOCK(フロムストック)」。捨てられる運命にある“倉庫の服”を、最もシンプルでロスの少ない“黒染め”技術によって生まれ変わらせ、新しい価値に転換して販売する。最終的には、他社やユーザーも参加可能なスキームを目指している

「『FROMSTOCK』は、アパレル業界の抱えるソーシャルイシュー『衣服ロス』に向き合うことで生まれたブランドです。IMechE(英国機械学会)が2018年9月に発表したファッション業界廃棄物に関するレポートによれば、全世界で生産された洋服の中で、おおよそ60%が、1年以内で焼却か埋め立てで処分されています。

そこで『本当は、存在してはいけないブランド』というビジョンの種をもとに、大手アパレルメーカーのアダストリアと組んで、廃棄予定の服を環境に配慮した東京の工場で『黒染め』し、別ブランドの商品として販売するシステムをつくりました。アップサイクルブランドへのニーズはこれまでも一部の感度の高い生活者からありましたが、この領域に全国区の大企業が参画したことから、日本でもこれから社会全体としてサステナブルやSDGsへの意識が加速していくのだと感じました」
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文=黄 孟志

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