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Photo by Neilson Barnard/Getty Images for Westin Hotels & Resorts

今年2月、ロサンゼルス本拠の瞑想アプリを提供するスタートアップ「ヘッドスペース(Headspace)」は9300万ドル(約10億円)の資金調達を実施した。ニュースサイトAXIOSの記事によると、同社のアプリは世界190カ国で約6200万回ダウンロードされており、200万人以上の有料サブスクリプション会員を抱えている。

新型コロナウイルスのパンデミックを受け、米国では多くの人々が失業しており、メンタルヘルス系のサービスの需要は高まっている。ヘッドスペースは失業した米国人向けに1年間無料のサブスクリプションコースを提供することをアナウンスした。

同社の共同創業者でCEOのRich Piersonは、「瞑想やマインドフルネスは困難な事態を乗り切る力を人々に与える。このスキルの重要性は以前にも増して高まっている」と述べた。

米国の失業者数は3650万人にも及び、失業率は大恐慌時代と並ぶ25%に達するとの予測もある。失業は単なる経済的問題ではなく、人々を精神的なパニックに落とし入れる。瞑想のスキルを身につけ、毎日の数分間を心の平穏を取り戻すアクティビティに費やすことで、厳しい時代をサバイブする力が得られるというのが彼らの提案だ。

ヘッドスペースの主任科学者を務めるMegan Jones Bell博士は「我々は臨床的リサーチを通じ、マインドフルネスや瞑想の分野に革新をもたらそうとしている。これまでの取り組みでヘッドスペースのセッションが、ストレスや不安などを抑え、心理的レジリエンスを高めることが裏づけられている」と述べた。

ヘッドスペースは5月14日から、米国の失業者限定で無料サブスクリプションコースの受付を開始した。参加を認められた人々は1200時間以上に及ぶ瞑想やマインドフルネスのコンテンツにアクセス可能になる。睡眠に特化した瞑想やエクササイズも用意されている。

同社はさらに5月18日から、専任のインストラクターによる“Living through unemployment(失業を生き抜く)”と題した瞑想コースを立ち上げる。精神的危機に備えるための瞑想や、悲しみや喪失に打ち勝つためのもの、自信を取り戻すための瞑想などが用意されている。

アップルウォッチ用のアプリも用意されており、ウォーキングやランニングの際のコースも利用可能だ。ヘッドスペースの取り組みは、前例のないものと言えそうだ。彼らは短期的には、売上を失うことになりそうだが、長期的にはより強固な顧客とのエンゲージメントを確立することになる。

今回の取り組みをきっかけに、ヘッドスペースの利用を開始した人々の一部は、無料期間が終了後もこのアプリの利用を継続するだろう。同社の今後に大いに期待したい。

編集=上田裕資

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