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2020.05.15 17:00

東京のキャバクラと日本の「病」──コロナが暴いたアベノミクスの虚構

Photo by Tomohiro Ohsumi / Getty Images

新型コロナウイルスが日本経済に与える影響を試算しているエコノミストたちは、雇用や消費、企業の利益に関するデータの分析に血眼になっている。だが、本当に役立つ情報は東京のナイトクラブやバーで見つかるかもしれない。

いや、「がらがらの」ナイトクラブやバー、ということにしておこう。少なくとも、表向きはそういうことになっている。4月7日に安倍晋三首相が「緊急事態宣言」を出してから、日本政府は夜の歓楽街への締めつけを行っているのだ。当局は国民に対して、ソーシャル・ディスタンシング(他人と一定の距離をとること)に反するバーなどの利用を控えるよう要請している。

証拠物件その1、女性の接待とお酒が楽しめる店──。それにしても、ありふれたキャバクラが、まさか新型コロナウイルスの感染拡大と、その経済的影響のどちらにも頼りない対応しかとれない日本の縮図になろうとは、いったい誰に予想できただろう?

ブルームバーグニュースは最近の記事で、その関係をなかなか説得力のあるかたちで明らかにしている。記事は、新型コロナウイルスの感染者が増えるなか、こうした店が「感染リスクになっているだけでなく、クラスター(集団感染)をつぶすのに必要な接触者追跡を特に難しくしている」状況を探ったものだ。

ポイントは、こうした店がソーシャル・ディスタンシングの真逆の場所であることだ。間違っても、マスクをするようなところではない。しかも、女性が接待してくれるような店はどこにでもあるのに、利用する人は頻繁に通っていることをあまり明かしたがらない。だからこそ店のほうも、客について細かい記録は残さないことになる。

ブルームバーグの記事では、岐阜市内のナイトクラブを取りあげていた。4月半ば時点で、「シャルム」というその店に関連した感染者が少なくとも33人確認されている。これは、目立たないものながら、日本のかなり緩い緊急事態宣言が「小さすぎるし、遅すぎる」ことをよく物語る事例だと言える。

このナイトクラブの話には、日本が抱えている別の2つの問題も顔をのぞかせている。1つ目は、女性に好条件の雇用機会が不足していること。2つ目は、日本の膨大な数にのぼるパートタイム労働者には、新型コロナウイルスの経済対策の恩恵があまり行き渡りそうにないことだ。
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編集=江戸伸禎

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