2. グローバルの販売価格が日本国内より大幅に高騰する
海外に商品輸出して販売する場合、日本のユーザー向けに商品を提供してる時には必要なかった関税・輸送量が上乗せされる。卸の場合は卸値(ホールセールプライス)での取引なので、卸先小売業者の利益を乗せられ、結果、グローバル市場では日本の販売価格の1.4倍〜2倍で売られているのが普通である。
特に中国では、日本の価格の2倍以上で販売している事例も珍しくはない。同じ商品で1.4倍〜2倍の価格になる場合、商品自体の価値をあげないと価格の妥当性がなくなってしまう。
※国内卸掛け率50%、海外卸掛け率50%で同率にした場合
解決策:D2Cブランドとしてのグローバル展開
海外展開においても、こういった中間業者のマージンをなるべくなくすことは、コストカットに繋がる。つまりD2C(Direct-to-Consumer)モデルをグローバル規模で行うということだ。
従来の小売・卸を中心とした販売スタイルでなく、ECを中心といたD2Cとして展開できれば、中間コストを抑えて、グローバルでの価格差を最小限に抑えられる。
一方で最終的には、コストを最小限に抑えたグローバル価格でも、ユーザーに価値を見出してもらえるだけの商品・ブランド体験作りはいずれにしろ必要にはなる。
さらに、日本ブランドにとって、「グローバル x D2C」というモデルが今、追い風になっている。その理由は、ShopifyやSquareなど越境ECのプラットフォームサービスが増え、気軽に日本に在庫を置きながらグローバルの消費者に向けて商品を届けやすくなっているからだ。
また、アメリカではECでモノを買う習慣が日本よりも定着しており、価格の妥当性がある魅力的な商品であれば越境ECで買うニーズは十分にある。
3. 海外でブランドメッセージを伝える難しさ
欧州に直営店3店舗、中国にフランチャイズで展開しているアパレルブランドのCEOから印象的な経験を聞いた。海外に直営店を出して難しかったのは、日本人として世界に届けたいメッセージを、ブランドの言葉で現地のユーザーに伝えることだったという。
直営店で働くスタッフは、日本人ではなく、日本のことをあまり知らない現地の人になる。日本に馴染みのない現地スタッフを通して、自分たちの伝えたいメッセージや世界観を広げていくのは至難の技なのである。卸の場合においても、ブランドのコンセプトすら知らずに小売業者がユーザーに販売しているのが現状である。