I look at K-12 policies and practices from the classroom perspective.

ビル・ゲイツ(Photo by Michael Cohen / Getty Images)

米ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は先週、学校の校舎が今も必要な理由に疑問を呈し、同州の教育改革にビル・ゲイツの協力を求めると発表したが、反発の声が上がるまでには1時間もかからなかった。

クオモは翌日、フェイスブックへの投稿で語調をやわらげ、「教師は英雄であり、対面式学習の代わりになるものはない」とし、教育改革は「教職員の全面的な協力を得て」進められると説明した。ただそれでも、人々の不安は消えていないようだ。では一体、何が懸念されているのだろう?

ビル・ゲイツはしばしば、突拍子もない理由でいわれのない批判を受ける。新型コロナウイルスの流行をめぐりささやかれる陰謀説の一つでは、すべてはゲイツが人々の脳にチップを埋め込むために仕組んだものだとされているほどだ。

しかし、ゲイツの教育分野での実績については慎重に吟味する必要がある。これまであまり注意を払ってこなかった人にとっては、超大富豪が教育支援のために寄付をしようとしているだけに思え、一体何が問題なのかわからないかもしれない。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団はこれまで、教育分野で複数のプロジェクトに取り組んだものの、その結果は失敗に終わっている。ゲイツは損害を被ることなくプロジェクトから手を引くことができたが、そうはいかなかった人もいる。

ゲイツは2000年代の初め、大きな学校を小さな学校に分割することで教育を改善できるかもしれないと考え、試験プログラムに数十億ドル(数千億円)を投じた。これにより米国内に数千校の小規模な学校が作られたが、ゲイツは最終的に、十分な成果が出ていないと判断し、プロジェクトから撤退した。

ここで重要なのは、ゲイツが自ら資金を投じる構造変革の内容を決め、地域の学校システムを材料に行った実験を途中で投げ出して後始末を多くの学区に押し付けたのみならず、学校が成功を収めたとみなされる条件を自ら設定したことだ。小規模な学校に通うメリットとしては多くのものが考えられるが、ゲイツが注目していたのは出席率と大学進学率、数学と読解のテストの成績の3つのみだった。

これらはデータに集約できる要素だ。ゲイツ流改革では、データが唯一の焦点となってきた。データを石油に例えるならば、公立学校はいわば大量の石油が眠るテキサスだ。ゲイツ財団は、学校の生徒や職員からデータを集める大規模プロジェクト「インブルーム(inBloom)」に少なくともに1億ドル(約110億円)を投じた。プロジェクトは当然ながら大きな反発を生んだが、支援者らはそれを予想できず、インブルームは大失敗に終わった。

編集=遠藤宗生

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