「やっぱり会議はリアルがいい」とPCを閉じる前に

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相手を観察するうえで大事なのは、自分の価値観や評価を一切脇において“相手をよく見ること”だと思います。たとえ画面越しでも、相手の表情や声音、口ぶりから、感情を汲み取ることは可能です。それでも観察することが難しければ、いっそお互いに言語化してみるのもいいと思います。

例えば、こころの状態や身体的感覚を、つぶさに書き出し合ってみてはいかがでしょうか。「楽しい」「うれしい」「熱中している」、または、「悲しい」「怖い」「不安」など、解釈を一切加えずに、ありのまま書き出してみる。さらに、書き出した感情に対して、身体のどこがどう反応しているか、胸が痛いのか、背中が苦しいのかなどをより詳しく表現しあってみると、感情を言語化して伝えるいい練習になると思います。

「NVC 感情」で画像検索すると、感情の一覧表がでてくるので、その表をもとに話し合ってみるのもおすすめです。

「伝わってる」という安心がスムーズな会話を生む


感情を言語化し合えたら、あとはお互いのパフォーマンスを引き出すために、どうすればいいのかを話し合います。不安なら、なにが不安なのかを話し合ってみるのです。例えば昨日からずっと家に閉じこもっているのなら、散歩でリフレッシュする必要があるとか、作業がまとまらないのなら締め切りを伸ばすなど、それぞれがベストなパフォーマンスを発揮するために必要な行動に気づくことができるでしょう。

リモートで伝わりにくい環境だからこそ、感情をきちんと表現したり、汲み取ったりすることを意識していくと、自然な会話のキャッチボールが生まれていきます。

僕の経験上、人は自分の感情が相手にきちんと伝わったり、言語化され整理されたりすることで、不安の8割が解決します。もしリモートコミュニケーションでつまづいたときは、会話の本質はキャッチボールであることを思い出し、まず相手の感情を観察し、寄り添ってみることから始めるといいかもしれません。

同時に、自分の感情を言葉にして伝え、つまづきの解消を相手にも手伝ってもらうのもいいと思います。すると、お互いにとってベストなパフォーマンスを発揮できるようになっていくはずです。

連載:ポストAI時代のワークスタイル
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文=尾原和啓

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