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World Restaurant Awards審査員


反応は、予想以上に嬉しいものだった。サンドイッチに添えた、医療活動への感謝の手紙に記した「ミフネ、ユウ・シマノ」の署名、その情報だけを手がかかりに、インスタグラムやフェイスブックに「ありがとう」の声が次々と届いた。仲間の医師が撮影してくれたビデオや写真からも、そんな喜びが伝わってくる。

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この食を通しての医療者への支援を続けられないか──。そう思った島野は、友人の助けを借りて募金サイトを立ち上げ、呼びかけた。すると、趣旨に共感した人たちからの募金が集まった。今度は、それを食材の調達資金などに充て、第2回を4月24日に行った。

美味しく、楽しく、食べやすい軽食を


前回のフィードバックにあった、「せっかくミフネのシェフがつくってくれるのなら、もう少し料理っぽいものが食べたい」というリクエストに応えて、メニューには改良を加えた。

ギイ・サヴォワのスペシャリテ「子羊のトマト煮込み」をカップに入れて、上に焼きおにぎりを載せたり、米でつくったバンズに、かき揚げとアメリケーヌソースとブイヤベースを煮詰めてルイユと混ぜた手の込んだソースを挟んだりと、これまで培ってきたフランス料理の技と和の食事を融合した、美味しく、楽しく、食べやすい軽食を提供した。

現在と元の店のスタッフ2名も、休業で手が空いているからと、手を貸してくれた。今後も、週に1回のペースで、医療関係者への差し入れは続ける予定だ。

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「パリでは、こういった活動はしっかりと組織化されていて、シェフは届いた食材を調理し、家の前に指定の時間に同じ場所に置いておけば、専門の業者が集めにきてくれる。ニューヨークでもそんなふうにオペレーションを整理して、他のシェフにも協力を呼びかけたい」と島野は今後を見据えている。もちろん、協力してくれるシェフは、日本人にこだわらない。

コロナ後の世界がどうなるのか。世界的に見ても、リーマンショック以上の経済の悪化は確定している。いまだ見通せないその先の世界を考えたときに、ただ1つ願うのは、「より優しい社会になっていて欲しい」ということだ。そしてそれは、唯一、私たちの力で変えられることだ。

文=仲山今日子

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