ビジネス

2020.05.15

創業3年で売上17億円。後発参入で見出した「英会話コーチング」の勝算

日本人の英会話に対するコンプレックスは今に始まったことではない。学生時代は受験のためならばと学んでいた英語も、ビジネスパーソンになれば仕事で必要になることも多く、コンプレックスに向き合うことになる場合も多い。

2016年に創業し、リリースから3年半で累計の受講者数は全国で7000人を超えるなど、急成長を遂げているプログリット。本田圭佑選手をはじめ、スタートアップの経営者も多く活用している。英会話市場には多くの競合が存在する中、なぜプログリットは後発ながらも急成長を遂げることができたのか。創業から成長までの過程、そしてアフターコロナのビジネス戦略をプログリット代表取締役社長 CEOの岡田祥吾に話を聞いた。


「儲けたい」からの脱却


起業を志したのは大学時代。外資系コンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーへの就職から3年後に独立することも就職活動の頃から決まっていた。独立してすぐに思い立った「家事代行サービス」のビジネスアイデアには成功する確信があったものの、投資家からの資金調達がうまくいかなかったという。

「当時は凹みました。共同創業者と何が悪かったのかを徹底的に話して出た結論は、お金儲けのことばかりを考えていたことでした。市場規模や競合、自社の優位性など、いかに儲けるかばかりで、そこに『想い』が全くなかったんです。ですから、本当に家事代行サービスをやりたかった訳ではなかったし、それを投資家にも見抜かれていたので、当然お金を出していただけなかった」(岡田)

そこから岡田は自分たちの利益をいったん忘れ、自分たちが好きなこと、本当にやりたいことを共同創業者と一緒に考え始めた。その結論が「英語」だったという。

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プログリット代表取締役社長 CEOの岡田祥吾

「最初は英語で儲かるかは正直分からなかった。自分自身もずっと英語が苦手でしたし、学生の頃にアメリカへ留学して英語力を伸ばしたり、マッキンゼー時代に色々勉強したのですが全然伸びなかった経験があったので、どこかで問題意識がありました。英会話スクールにも通いましたが、それで英語力が上がる気が全くしなかったんです。

そうした経験から、日本の英語教育に風穴を開けられたら社会的意義が絶対にあるはずと確信しました。そこから再スタートしたのです」(岡田)

規模こそあるものの、「勝者」が生まれなかった英会話業界


社会人でも英会話スクールへ通う人は多い。英会話スクールの市場はおよそ2100億円規模であり、現在も成長を続けている。市場における競合は数多くあるものの、日本人の英語力が上がっている実感が岡田にはなかった。「英語学習ならここ」という強いサービスがまだ生まれていないと感じたのだという。

「英会話スクール市場にはアンメットニーズがあるなと。お金を払うニーズはあるのに、そのニーズは全く満たされてこなかった。お客様のニーズを満たせるサービスができれば、比較対象の競合がたくさんいることはむしろ事業にとってプラスになります。新たに市場を作るよりはビジネスを圧倒的に早くスケールさせることができます。いいサービスさえ作りきれば、絶対に勝てるビジネスになると。既存の二番煎じなサービスをやっても全く意味がないし、僕たちがやる意味が全くない。

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しかし、創業者2人とも英語市場に関しては門外漢で豊富な知見があったわけではなかった。では1番のサービスを作るためには何が大事なんだと2人で話して出た結論は『原理原則に従う』ことでした。
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文=大木一真

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