ビジネス

2020.05.15

創業3年で売上17億円。後発参入で見出した「英会話コーチング」の勝算


英語学習における原理原則を深く考えていくと、『英語力の伸び=学習生産性x投下時間』という一つの方程式に至りました。学習の生産性を効率化し、そこにどれだけの時間を費やせるか、この2つの変数を最大化させることに100%のリソースを投入すれば、絶対に日本一英語力が伸びるサービスになると気がついたのです」(岡田)

コンサルタント時代の課題解決力を、英語でも


サービスの提供開始から3年半で累計受講者数は全国で7000人を越え、多くのスポーツ選手や経営者も英語力を向上させた「プログリット(PROGRIT)」。従来の英会話スクールはお客様に英語を「教える」サービスだが、プログリットは「教える」とは違い、「コーチング」のサービスである。LINEや、週1回の面談で顧客の生活改善からサポートし、独力で英語を勉強する方法を教えている。

そのためサービスは高単価であり、「コンサルタント」と呼ばれる社員の待遇や給与水準も他の英会話スクールと比べて比較的高い。プログリットでは社員に対する投資を積極的に行っており、特にリソースをかけているのが「ロールプレーイング」の研修だ。お客様役とコンサルタント役に分かれてロールプレイングし、それをフィードバックしあうというもので、110人ほど在籍するコンサルタント全員に対して実施している。

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プログリットに所属するコンサルタントたち

もう1つ特徴的な社内の取り組みがベストプラクティスの共有だ。各拠点ごとに在籍する10人のコンサルタントは、週に1回必ず時間を合わせ、「このお客様は、〜〜の目的で英語を勉強しており、〜〜な悩みを持っている場合は多いから違うアプローチをしよう」といったディスカッションを行う。そこで生産性が高く、英語力が伸びるベストプラクティスを常に社内で共有しているそうだ。

「このプログリットの仕組みは、マッキンゼーでやっていたことを英語版に変えて、それを個人でやっているというイメージです。コンサルタントの仕事はどの業界、どの業種であろうと根本的には全く一緒。無数の課題の中からその企業のクリティカルな課題を特定し、優先順位を決め、優先度の高いものから解決策を考え、それをしっかり伝えて実行していただきます。そして、改善されるまでひたすらサポートし続けるのです。

プログリットのサービスも基本は全く一緒です。英語に関するお客様のイシューを第二言語習得論のフレームワークに基づいて分析し、お客様の目的から考えた時の優先順位を決め、解決策とトレーニング方法を決め、あとは3カ月間絶対実行するようにサポートし続けます。また、社内では『コンサルタントの心得5か条』を掲げています。

1. すべてはお客様ではなく、コンサルタントの責任である
2. プロとして、本気でお客様の英語力向上を考える
3. お客様のために、一歩踏み込む勇気を持つ
4. お客様がしたいことではなく、すべきことを考える
5. 広く・深く学び続ける

特別な英会話メソッドを作ったりせず、ただお客様の課題解決に向き合ってきただけであり、それこそプログリットが成長した一番の要因だと思っています」(岡田)
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文=大木一真

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