ビジネス

2020.05.17

癒しと共感と創造力 アフターコロナの時代を築く世界に不可欠なもの

医療従事者を音楽で応援するイベントを企画したレディー・ガガ 写真:Christopher Jue/Getty Images


これからは新型コロナウイルスと闘うのではなくて、ともに共生していく時代になるのだとも言われています。そのような時代が、この先どうなるかは誰にも読むことはできません。

しかし、ロックダウンのさなかでも、もがきながら生きる意味を見出そうとする人たち、愛する人を真剣に思い心から感謝する人たち、そして愛を持って癒しを発信するアーティストたちがいます。すべては、いまの状況を受け入れつつ、乗り切り、このあとに続く世界を良くしていこうという前向きなアクションです。なので、これからは、癒しと生きる意味を求める動きが強くなっていくでしょう。

いまの日本のネット上やSNSには、残念ながら、癒しはほとんど存在しません。ネットはオープンであるがゆえに逃げ場がありません。一度、非難の対象になれば、どこまでも追い詰められてしまいます。

ところが、新型コロナ禍でむやみに人の心を傷つける否定的な世界に嫌気がさした人たちが徐々に現れ始め、ソーシャルネットのコミュニケーションにも変化が表れて出しています。

癒しを求める人は、相手の顔がわかるくらいの、小規模のクローズドな共感できる人だけのコミュニティーへと移行しています。コミュニティーへの期待が、定量的評価から、「質=心」へと変わってきているのです。それは、同じ感性を持ち、共感し合える人たちの、心が繋がる新しいコミュニティーなのです。

なので、これからのビジネスのヒントは、このような共感を、どうマッチングさせていくかにあるでしょう。

共感を軸に変化する人と企業の関係


アフターコロナの時代では、企業は、従業員の満足度を上げる組織から、企業アイデンティティへの共感を育てていく組織へと変化します。従業員からの共感を得るためには、アイデンティティやビジョンを明確化することが最重要となり、企業のトップは、それらを社会へのメッセージとして打ち出していく高い能力が求められます。その役割はとても大きく、企業の存続をも左右することになるでしょう。

一方で、企業のビジョンに共感した従業員たちは、自らの人生についても考え、自らのアイデンティティーも重要視していきます。その結果、企業と従業員のアイデンティティやビジョンがより近づき、強い絆が生まれていきます。

企業に属する経営者も従業員も、これまでとは全く違う新しい能力、つまり共感や感性から発展させ、創造していく思考力が必要となります。だからこそ、感性レベルでの共感というマッチングが重要になるのです。

企業の成長は、属している人の成長とリンクします。経営者と従業員は1対1の人間として、お互いに共感し生きる意味を考えるようになり、企業のビジョンを共に目指すことで癒されていきます。こうして企業は、強い思いの集合体となり、社会や地球規模で存在意義を考えるようになるのです。
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文=松永エリック・匡史 構成=細田知美

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