コロナ対策として推奨されるマスク着用、米国民の対応には地域差

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新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)を受け、オーストリアやドイツ、フランスをはじめとする各国がロックダウン(都市封鎖)を実施、感染の拡大を抑え込もうとしてきた。そして現在、すでに一部の国では、段階的な封鎖の解除が始まっている。

これらの各国はロックダウンの緩和に伴い、特定の状況(食料品店や公共交通機関を利用する際など)においてはマスクを着用することを指示しており、市民はほぼ大半が、その新しい規則に従っている。

だが、その一方で世界には、着用に反発する人たちもいる。特に米国では、マスクの有効性を巡る議論が一層激しさを増している。

米国の公衆衛生当局は国民に対し、マスクの着用を推奨するようになっているが、政府高官のなかにもそれを受け入れない人たちがいる。ドナルド・トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領は最近になっても、マスクを着けずに公の場に姿を見せている。

多くの米国民が、マスクを巡って怒りやフラストレーションを抱えている。ミシガン州フリントにある小売店では5月1日、マスクの着用を求めた警備員が客と口論になり、射殺される事件が発生。国全体がこの問題に関心を向けるきっかけとなった。

ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ知事はその後、公共の場でのマスクの着用を拒否することは「他者に対する無礼な態度だ」と発言。「あなたがマスクを着けたくなかったことが、文字通り誰かを殺すことになり得る。それはどれほど残酷で、無責任なことだろうか?」と問いかけた。

使用率に地域差


こうした議論が続くなか、英調査会社ユーガブは各国のマスクの使用に関する調査結果を発表した。マスクを着用する米国人の割合は実際のところ、ここ数週間で大幅に増加している。4月初めには17%だったものの、月末には63%に増えていた。

ただ、使用している人の割合は、州によって大きく異なっている。ユーガブが5月9日に公表したデータによれば、「過去2週間、公の場ではマスクを着用していた」という人の割合が最も高かったのは、ハワイ州(58%)とニュージャージー州、コロンビア特別区(いずれも56%)だった。

一方、割合が最も低かったのは、アイオワ州とモンタナ州。それぞれ29%、23%となった。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、モンタナ州で確認された感染者数は5月12日時点で459人。国内ではアラスカ州に次いで、2番目に感染者が少ない州となっている。

「過去2週間に公の場ではマスクを着用した」人の割合が特に高い、または低い米国の州は、以下のとおり。

・ハワイ:58%
・ニュージャージー/コロンビア特別区:56%
・ニューヨーク:53%
・カリフォルニア/ロードアイランド:52%
・コロラド/メリーランド:49%

・モンタナ:23%
・アイオワ:29%
・アイダホ/ウィスコンシン:31%
・カンザス/ケンタッキー/サウスダコタ:32%
・ミネソタ/オハイオ/ユタ:33%

編集=木内涼子

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