ビジネス

2020.05.14

客の「お節介」で店を救う。『#勝手に応援プロジェクト』が狙う食文化の存続


── 辛い状況ではありますが、飲食店を救うために多くの人が動き始めている事実は少し明るい気持ちになれるニュースですね。

山本:今、プロジェクト始動から70日で、参加店舗数は400店、応援者数は5000人、応援総額は1000万円を超えました。既に300枚以上のチケットが売れているお店もあります。

また、4月中旬からはチケットの売れ方にも変化が出てきました。公開直後は、常連さんやコアなファンが購入するのですが、一定枚数・一定期間を越えると、まだ行ったことのないお客さんが買い始めるのです。「こんなに愛されているお店ならぜひ自分も行ってみたい、いま応援しよう」という購入動機です。食べ手がつながることでお店を支える、キッチハイクらしい応援の構造ができていて、嬉しく思っています。

ちなみに、お客さん側が応援チケットを買って使わなければ、それはドネーション(寄付)になります。飲食店さんの利益率は売上の10%前後です。逆算すると、3000円の応援チケットは30000円の売上に等しい。しかも、飲食店さん側の準備コストはほぼありません。チケット有効期限の6ヶ月以内(資金決済法に準拠)に行けるか行けないかで悩んでいる方はぜひ「行けなかったら別にそれでもいいや!」くらいの気持ちで買ってみてもらえたら、飲食店さんのためになるのではないでしょうか。



── 経済的な支援は勿論のこと、何よりお客さんからの「あなたのお店を応援したいです」という気持ちが、飲食店さんの支えになりそうですね。

山本:そうですね。こうした危機的状況だからこそ、飲食店を経営している皆さんに希望を持ってもらえるように声を届け、盛り上げていくことが大切だと思います。お客さんにとっても、行きつけのお店に感謝の気持ちを伝える絶好のチャンスではないかと思います。

応募方法はシンプルで、応援したいお店がある方は、エントリーフォームに必要事項を記入して送信してもらうだけ。申請を承った後は、キッチハイクのメンバーがお店に連絡をとり、主旨説明とエントリーしたお客さんの声を届けます。お店の方がOKすれば、そのままプロジェクト参加の流れになります。飲食店さん側からのエントリーも、もちろん可能です。

売上金はすべて飲食店さんに還元される仕組みとなっていて、毎月5日と20日が振り込み日です。ちなみに、未来のチケットページは、エントリーフォームの情報を元に、運営側でつくっています。飲食店さんの手をできる限り煩わせないオペレーションフローでやっています。
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文=倉益璃子

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