ライフスタイル

2020.05.17 11:00

ありのままの自分になれる。屋久島のリゾートで体験する「自然への回帰」


固有種を含め、多様な自然に恵まれた食材が豊かなこの島は、フェリーで鹿児島から4時間、悪天候になると数日間も輸送が途絶えることも少なくない。だからこそ、地元の食材を多用し、島にはない鹿児島和牛などの食材はまとめて1頭買いするという。それは、輸送時のCO2排出を避けようという、地球環境に気を配るという流れにも適応している。

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左が濱崎さん、右が武井シェフ

武井エグゼクティブシェフのもとで働くokasの林謙児シェフは徳之島の出身だが、リゾートから車で10分ほどの奥さんの実家でもある農園から野菜を調達している。それもあり、野菜は約9割が島内産で、野草も多用する。

この日のokasのシグネチャーは、カニのような味わいの亀の手をはじめとする磯の食材を盛り込んだ前菜と、島内でたくさん獲れるキビナゴを使ったコンソメ。コンソメでは、キビナゴの頭や内臓を丸ごと使っているが、えぐみがないのは、新鮮な状態で手に入る地元ならではだ。

料理に使う野菜も、ストレスを与えないため冷蔵庫には入れない。林シェフが、大根の種が入ったまだ若い緑の鞘を手渡してくれた。口にするとみずみずしい甘みが広がる。

「美味しいでしょう? でも、穫って時間が経つと、植物は自己防衛のために固くなっちゃうんです」とシェフ。身近に農園があれば、野菜を冷蔵庫に入れて長期間保存する必要などない。なるほど、この島ならでは、素晴らしい贅沢かもしれない。

「ありのままの自分でいられる」リゾートで見つけたのは、目の前にある自然を慈しみ、敬意を払った暮らしをするという、都会で見失ってきた元始の感覚だった。

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某映画のキャラクターを彷彿とさせる可愛らしいプレゼンテーションのokasで提供されているグラニテ。カバーするために使われているのは敷地内に生育するツワブキの葉

文=仲山今日子

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